4月18日から22日まで米国にて開催されているアメリカ癌学会(American Association for Cancer Research Annual Meeting(AACR2015))にて、転移のある去勢抵抗性前立腺がん(ホルモン療法などによる去勢治療が効かなくなった前立腺がん)患者において、損傷したDNAの修復に関連する遺伝子に変異がある患者は変異のない患者に比べて、PARP阻害薬オラパリブ(リムパーザ)の効果が高い可能性が示されました。第2相試験の結果となり、効果は49人中16人で認められ、多く認められた副作用は貧血、倦怠感でした。
PARP(ぱーぷ)は損傷したDNAを修復する酵素(タンパク質)です。これを阻害するとがん細胞はDNAを修復することができなくなることがわかっています。
DNA修復にはBRCA遺伝子(ぶらっかいでんし)が関わっており、この遺伝子に変異(異常)が起きているとDNA修復機能が弱くなり、がん化してしまうと考えられています。BRCA遺伝子変異していると修復機能が弱くなる点に着目して、同じような働きをするPARPも抑制してしまうことで、がん細胞を自殺に追い込んむのがこの薬剤の作用メカニズムです。
前立腺がんではBRCA遺伝子変異を有する患者は予後が悪いことが知られています。なお、前立腺がんにおいてはBRCA変異がある患者は2%未満とされています。
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