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乳がんのステージ(病期)
乳がんのステージ(病期)は腫瘍の大きさ、リンパ節やほかの臓器への転移の有無によって、0期~Ⅳ期に分類されます。治療法の選択肢は、がんの大きさ、広がり方と形態、病理検査で調べたがんの性質などによって変わります。
ステージ(病期)は、自分の病気の状態や予後(治療の見込み)を知り、治療法を決めるうえで重要な指標となります。乳がんの病期は、腫瘍の大きさと広がり、そして、周辺のリンパ節やほかの臓器への転移の有無などによって、0、Ⅰ、ⅡA、ⅡB、ⅢA、ⅢB、ⅢC、Ⅳ期まで8段階に分けられます。0期は非浸潤がん、Ⅰ期以上は浸潤がんで、Ⅳ期に近いほど進行した状態です。
乳がんの治療は、手術、放射線療法といった局所療法、薬を使った全身療法を組み合わせて行うことが多く、何通りもの選択肢があります。治療法については、日本乳癌学会が「乳癌診療ガイドライン」として標準化しています。標準化された治療(標準治療)は、多くの臨床試験の結果をもとに検討され、専門家の間で合意が得られている現時点で最善の治療法です。日本乳癌学会では、がんの体験者と一緒に「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」を作成しており、ホームページ(http://jbcs.gr.jp/)から誰でも閲覧できます。
治療はがんの性質、体調、本人の希望でどの治療法を選ぶかは、病期、病理検査によってわかるがんの性質、患者さん本人の体の状態(閉経の状況、臓器機能が良好に保持されているか)、本人の希望などによって変わります。
なお、腫瘍のある乳房が赤く腫れる「炎症性乳がん」や「ほかの臓器に転移がある」と診断されたときには、最初に薬物療法を受けることになります。乳がんの性質を知る指標については、薬物療法の項で詳しく説明しますが、まずは、担当医に病理検査や画像診断の結果を聞き、自分の病期やがんの性質について知っておきましょう。
複数の選択肢がある場合には、治療の目的、内容、リスク、利益、治療期間や費用について詳しい説明を受け、担当医ともよく相談し、納得して選ぶことが大切です。
本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2018年10月に出版した「もっと知ってほしい 乳がんのこと」より抜粋・転記しております。