放射線療法
放射線療法は子宮頸がんに有効な治療で、根治目的で、あるいは手術が適応にならない場合に、進行期に応じて単独あるいは化学療法と同時に行われます。外部照射と腔内照射があり、根治目的では両者の併用が標準とされています。放射線には、細胞の核の中にある遺伝子(DNA)を壊し、細胞の増殖を止める働きがあります。これを利用したのが放射線療法で、がん細胞のDNAを壊すことでがんを小さくします。
放射線療法は子宮頸がんに有効な治療法で、手術を行わずに根治させることを目的として、ⅠB1期、ⅡA1期では放射線療法が、ⅠB2期、ⅡA2期では、放射線療法と同時に化学療法(シスプラチン週1回、計5~6回、点滴静脈内投与)を行う同時化学放射線療法が行われることがあります。
また、ⅠB期、Ⅱ期では広汎子宮全摘出術後に再発リスクが高い場合、術後補助療法として放射線療法や同時化学放射線療法を行うことがあります。Ⅲ期やⅣA期では、第1選択として同時化学放射線療法が行われます。
外部+腔内照射をスケジュール通りに行う
照射方法には、体外から皮膚を通して放射線を照射する「外部照射」と、子宮と腟にアプリケータを挿入して放射能発生源のラジオアイソトープを密封した金属カプセル(密封小線源)を送り込む「腔内(くうない)照射」があり、根治目的では両者の併用が標準です。外部照射は、子宮頸部の病変と、予防的治療で所属リンパ節領域に1日1回週5日、合計25~30回(約5~6週間)、骨盤全体の比較的広い範囲を照射します。
腔内照射は週1~2回、合計3~5回、膀胱や直腸など周囲の正常な臓器への被ばくを抑えながら、子宮頸部の病変に照射します。放射線療法の治療期間は予後に大きく関わります。効果を得るには治療を休まず8週間以内に終了することが重要です。
なお、放射線療法は、手術に比べて排尿機能障害や性交障害などの合併症が軽い反面、卵巣機能を温存できず、皮膚炎や粘膜炎、だるさ、吐き気・嘔吐、直腸炎、膀胱炎などの副作用が出たり、数か月~数年後に現れる晩期合併症が現れたりします。ⅠB1期、ⅡA1期では、手術と放射線療法の根治成績がほぼ同等ですので、いずれを選択するかは担当医とよく相談してください。
本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが2015年3月に出版した「もっと知ってほしい子宮頸がんのこと」より抜粋・転記しております。