標準治療について
悪性リンパ腫の治療法には薬物療法と放射線療法があり、その2つを組み合わせた治療が行われる場合もあります。治療方針は本人の希望、ホジキンリンパ腫か非ホジキンリンパ腫か、病期、悪性度、全身状態によって、一人ひとり異なります。
悪性リンパ腫は、比較的、抗がん剤や放射線がよく効くがんです。治療は薬物療法、放射線療法を単独で、あるいはその2つを組み合わせてリンパ腫細胞をたたきます。多くのがんでは、手術が治療の大きな柱になりますが、悪性リンパ腫の治療のために手術が必要なのは、B細胞リンパ腫が胃や小腸にできたときなど、まれなケースに限られます。
治療方針は、ホジキンリンパ腫か非ホジキンリンパ腫か、病期、悪性度(病気の性質)、年齢、全身状態によって異なります。治療は、多くの臨床試験の結果をもとに検討され、国際的に専門家の合意が得られている標準治療を中心に行います。日本血液学会では、悪性リンパ腫の標準治療を含めた「造血器腫瘍診療ガイドライン」を作成しています。
標準治療は、現時点で最も効果が出る可能性が高い最善の治療法です。最終的には、全身状態もみながら、患者さん本人と担当医が相談しながら選んでいきます。
ホジキンリンパ腫の治療法
ホジキンリンパ腫でリンパ腫が1か所か一定の場所に限られる限局期(Ⅰ期、Ⅱ期)の場合、薬物療法と放射線療法を併用する治療が主流です。限局期のホジキンリンパ腫の場合、以前は、主に放射線療法だけで治療していました。しかし、併用療法のほうが効果は高く、医学の進歩で併用による副作用を減らせるようになりました。今日では併用療法によって9割近くの患者さんが治癒し、社会復帰しています。
進行期(Ⅲ期、Ⅳ期)の場合は、複数の抗がん剤を組み合わせた薬物療法が中心です。ほかのがんでは治らないことの多いⅣ期の患者さんでも薬物療法で治癒する可能性があり、治りやすいのがホジキンリンパ腫の特徴です。
非ホジキンリンパ腫の治療法
非ホジキンリンパ腫は、悪性度と病期によって治療法が変わります。また、リンパ球にはB細胞、T細胞、NK細胞があり、どの細胞ががん化するかによっても、選択肢が異なる場合があります。濾胞性(ろほうせい)リンパ腫やMALTリンパ腫など低悪性度のB細胞非ホジキンリンパ腫で、Ⅰ期あるいはⅡ期で2つの病変の距離が近いときには、放射線療法で治療するのが標準的です。
Ⅱ期で2つの病変の距離が離れている、あるいはⅢ期かⅣ期では、薬物療法か経過観察が主流です。
胃のMALTリンパ腫でⅠ期の場合にはピロリ菌除菌療法が第一選択になり、それだけでコントロールできる人も少なくありません。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、未分化大細胞型リンパ腫など中悪性度非ホジキンリンパ腫のⅠ期、Ⅱ期では、薬物療法と放射線療法を組み合わせる治療が標準的です。Ⅲ期とⅣ期では投与回数を増やした薬物療法を中心に治療します。
高悪性度の非ホジキンリンパ腫は急激に進行するので、できるだけ早い段階で大量薬物療法を開始することが重要です。リンパ芽球性リンパ腫では、ABVD、R-CHOP、CVPとは異なる強力な薬物療法、バーキットリンパ腫では短期間で別の大量薬物療法を行います。
成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の場合、患者さんが65歳未満であれば、大量薬物療法の後にほかの人から骨髄か末梢血を提供してもらう同種造血幹細胞移植を検討します。
本コンテンツは認定NPO法人キャンサーネットジャパンが出版する「もっと知ってほしい悪性リンパ腫のこと」より抜粋・転記しております。