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乳癌の新薬ブパリシブについて
日本人女性が乳癌になる確立、乳癌で死亡する確立率は1960年代以降、一貫して増加傾向にあります。しかし、マンモグラフィにより早期発見、治療効果予測因子別のプレシジョンメディシン(精密医療)の確立により、乳癌の治療成績は向上しております。
例えば、ホルモン受容体(エストロゲン/プロゲステロン受容体)陽性乳癌の場合、ホルモン療法の有効性が高いことが証明されています。しかし、ホルモン受容体陽性の一部患者は時にホルモン療法に対して治療抵抗性を示します。
この治療抵抗性の原因の約30%は細胞増殖シグナル経路であるPI3Kが過剰活性しているためと考えられている説があり、このPI3KCA変異は一部のホルモン受容体陽性乳癌のOS(全生存期間) に悪影響を与えることが判っております。
そのため、PI3K変異を有するホルモン受容体陽性乳癌患者にはホルモン療法だけでなく、PI3K阻害剤により治療が必要です。問題は、PI3K阻害剤に対するその治療効果は高いものの、奏効を示したその後に癌細胞が抵抗性を獲得しやすい点です。そこで期待されていますのが、抵抗性を克服した次世代PI3K阻害薬である
ブパリシブ
です。ブパリシブはPI3KCA変異型のHR陽性HER2陰性乳癌患者に対して抗エストロゲン薬であるフェソロデックス(フルベストラント)との併用療法でフェソロデックス+プラセボ併用療法と比較してPFS(無増悪生存期間)が有意に良好であることが証明されています。
ブパリシブの薬剤概要
製品名
未定
一般名
ブパリシブ(buparlisib)
用法用量
未定(ブパリシブとして100mgを1日1回経口投与する)
効能効果
未定(PI3K変異型のHR陽性HER2陰性乳癌)
主な副作用
未定(ALT、AST上昇、高脂血症、発疹など)
製造承認日
未定
ブパルリシブの作用機序
ブパルリシブはPI3Kを選択的に阻害することで、細胞のシグナル伝達を抑制し、癌細胞の増殖を抑制します。
ブパルリシブの最新情報
1)Buparlisib plus fulvestrant versus placebo plus fulvestrant in postmenopausal, hormone receptor-positive, HER2-negative, advanced breast cancer (BELLE-2): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial
概要
HR陽性HER2陰性進行再発乳癌患者に対してフェソロデックス+ブパルリシブ併用療法、又はフェソロデックス+プラセボ併用療法を投与し、PFS(無増悪生存期間)を比較検証した第三相試験。結果はプラセボ群に対してブパルリシブの方が有意にPFSを改善することが分かりました。
出典
配信日
2017年5月30日
ブパルリシブの口コミ
医師のコメント
BELLE-3 Trial of Buparlisib + endocrine tx meets Primary Endpoint of PFS in metastatic Breast Cancer #sabcs16 https://t.co/0CFMmm5fac
— Julie Gralow (@jrgralow) 2016年12月9日
BELLE-3- Sig. toxicity with Buparlisib – inc. LFTs and Anxiety/Depression. Key: pI3K agents are active post m-TOR-Is #sabcs16 pic.twitter.com/BVFojIYueb
— Dr Sunil Verma (@cancermd) 2016年12月8日
その他医療関係者のコメント
Buparlisib + endocrine therapy is effective w/ high toxicity in HR-positive HER2-negative #breastcancer https://t.co/N5cMxVASm0
— The Lancet Oncology (@TheLancetOncol) May 31, 2017
ブパリシブの治験情報
Study of Letrozole With or Without BYL719 or Buparlisib, for the Neoadjuvant Treatment of Postmenopausal Women
治験の概要
閉経後のER陽性HER2陰性乳癌患者に対して術前化学療法としてブパリシブ+レトロゾール併用療法を投与し、RR(奏効率)を検証する治験
治験の期限
2017年5月
参照
1)ノバルティスファーマ株式会社プレスリリース
2)患者さんのための乳がん診療ガイドライン
この記事に利益相反はありません。