目次
ポイント
この試験は、未治療のステージⅢbまたはⅣの膵がん患者を対象にした、腫瘍溶解性ウイルスTBI-1401(HF10)と化学療法を併用する第Ⅰ相試験です。
<一般的な説明>
試験概要
この試験では、抗がん治療(手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、治験)を行ったことのないステージⅢまたはⅣの膵がん患者、またはゲムシタビンをベースとした標準化学療法を受けた後に治療変更が必要となったステージⅣの患者に対し、腫瘍溶解性ウイルスTBI-1401(HF10)と化学療法の併用し、安全性と忍容性を評価し、推奨容量を決定する第Ⅰ相試験です。
以下の治療方法で、適切な投与量を調べます。
TBI-1401(HF10)+化学療法
治験薬剤の説明
TBI-1401(HF10)は単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の弱毒化株であり、がんに直接注入することにより抗腫瘍作用を示します。
このようなウイルスを「腫瘍溶解性ウイルス」といい、正常な細胞内ではほとんど増殖しません。
しかし、がん細胞内では活発な増殖を行い、がん細胞を破壊します。
この試験の対象となりうる方
- 20歳以上の日本人の方
- 組織学的又は細胞学的にステージⅢbまたはⅣの膵がんの確定診断が得られた患者
- 抗がん治療(手術、化学療法、放射線療法、免疫療法、治験)を行ったことのない方、またはゲムシタビンをベースとした標準化学療法を受けた後に治療変更が必要となった方
- パフォーマンスステータス が0又は1の方
この試験の対象とならない方
- 治験治療開始前1週間以内に抗ヘルペスウイルス剤(例:アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル)を使用した患者(軟膏等の局所投与は除く)
- 腫瘍内投与や生検を安全に施行することができない出血傾向や凝固異常が認められている患者(例:重大な腫瘍性出血、凝固異常、出血性障害の既往、又は合併のある患者)
- 脳転移が確認されている患者(脳転移症状を有する場合には脳CT又はMRIで確認する)
- 腹水を認める患者(軽度の腹水を認める場合を除く)
治癒切除不能な膵癌患者を対象としたTBI-1401(HF10)の化学療法併用第I相試験
対象がん種 | 膵がん |
フェーズ | P1 |
実施期間 | 2017年8月 ~ 2020年3月 |
実施国 | 日本 |
目標症例 | 76 |
状況 | 募集中 |
手法 | 非対照、オープンラベル |
被験薬名 | TBI-1401 一般名:HF10 |
種類 | 腫瘍溶解性ウイルス |
投与経路 | 腫瘍内投与 |
<専門的な説明>
試験概要
治癒切除不能な膵がん患者(Stage III又はIV)を対象に、TBI-1401(HF10) の腫瘍内投与と、化学療法を併用した際の日本人における安全性及び忍容性を評価し、推奨用量を決定する。
また、TBI-1401(HF10) と化学療法併用時の有効性を探索的に検討する。
治験薬剤の説明
HF10は単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)の弱毒化株で、がん局所に注入することにより顕著な抗腫瘍作用を示します。このようなウイルスは「腫瘍溶解性ウイルス」と呼ばれています。腫瘍溶解性ウイルスは、正常細胞内でほとんど増殖しませんが、がん細胞内では高い増殖能を示し、がん細胞を特異的に殺傷します。多くの腫瘍溶解性ウイルスは遺伝子の組換えや外来遺伝子の挿入を行っていますが、HF10は遺伝子工学的改変を一切行っていない自然変異型のウイルスのため、遺伝子組換え生物等の使用等に関する規制の対象となりません。
(タカラバイオHPより:http://www.takara-bio.co.jp/medi/hf10.html)
腫瘍溶解性ウイルスは癌細胞に選択的に感染し、癌細胞を死滅させるウイルスであり、新規癌治療方法として期待されています。腫瘍溶解性単純ヘルペスウイルスは本来有するウイルス自体の毒性が弱められ、安全性が確保され、癌細胞特異的な攻撃性を有しています。HF10は弱毒化された単純性ヘルペスウイルスI型で、in vitroならびにin vivoにおいて強い抗腫瘍効果を発揮することが報告されています。
(名古屋大学大学院医学系研究科HPより:https://www.med.nagoya-u.ac.jp/intlexch/cancerimmuno/www/research/index.html)
臨床試験公開情報
JAPIC No : JapicCTI-173671(最終更新日2018/9/28)詳細はコチラ
ClinicalTrials.gov Identifier : NCT03252808 (最終更新日2018/9/26)詳細はコチラ
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作成・更新:可知 健太