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ウイルスベクター

  • [公開日]2016.02.02
  • [最終更新日]2017.10.12

目次

ベクターとは

ベクター(Vector)とは、ラテン語の「運び屋」に由来し、一言でいえば「遺伝子の運び屋」のことです。遺伝子組換え技術に用いられる用語となります。

身近なベクターの使用例は、遺伝子組み換え植物となります。

目的となる植物の遺伝子組み換えに使用するのがベクターです。

この場合、バクテリアのプラスミドというベクターを使用します。プラスミドに害虫や除草剤に強い遺伝子を導入したバクテリアを植物に感染させることにより、プラスドのDNAが切り出されて植物細胞の遺伝子組み込まれます。これにより、害虫や除草剤に強い遺伝子組み換え植物が作られます。

ウイルスベクターとは

ベクターは、治療にも使用されます。

例えば、がん抑制遺伝子という、「細胞のがん化」を抑制する遺伝子をこのベクターを使用して、腫瘍細胞に挿入することにより、腫瘍細胞を死滅化させるといった研究がされています。この手法を用いた治療法を遺伝子治療といいます。

こういった治療の際に使用するベクターにはウイルスを使用することが多く、ウイルスベクターと呼びます。

使用するウイルスには、レトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスなどがあり、それぞれの疾患の特徴に分けて使用します。

例えば、免疫不全症などの治療にはレトロウイルスやレンチウイルスが使用され、がん治療などにはアデノウイルスが使用されます。

ウイルスを治療に使用するというのは『怖い』イメージがあると思いますが、これらで使用するウイルスは増殖できないように処理をしており、体内で増殖することはありません。また、アデノウイルスは、風邪などの呼吸器障害を起こすことが多いウイルスですが、大部分の人は自然に治ってしまいます。アデノウイルスは、遺伝子治療のベクターとして最も広く使用されており、その優れた安全性が確認されています。

図2

Gene therapy clinical trials worldwide to 2012 – an update (The Journal of Gene Medicine / Volume 15, Issue 2, pages 65–77, February 2013)

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