2016年1月20日、国立研究開発法人国立がん研究センターは、全国がんセンター協議会(全がん協)の協力のもと、加盟施設での診断治療症例についての「部位別10年相対生存率」を集計、全がん協ホームページ上で公開しました。
「10年相対生存率」とは、がんと診断された人が、そうではない人と比べて10年後にどの程度生存しているかどうかを示すもので、がん治療の効果を表す指標の一つです。
今回の「10年相対生存率」の算出には、1999年から2002年に16施設において診断治療を行った35,287症例を用いています。
国内では、5年間の生存率を示す指標はあったものの、今回初となる「10年相対生存率」の公表によって、より長期的ながん種別予後の傾向が示されました。
「10年相対生存率」部位別の結果は以下の通りです(抜粋・括弧内は5年生存率)。
全部位:58.2%(68.8%)
甲状腺がん:90.9%(91.6%)、乳がん:80.4%(92.9%)、大腸がん:69.8%(75.9%)
胃がん:69.0%(73.1%)、肺がん:33.2%(43.9%)、食道がん:29.7%(42.3%)
肝臓がん:15.3%(34.8%)、膵がん:4.9%(9.1%)
5年生存率と10年生存率でもとのデータベースが異なるため比較には注意が必要ですが、部位によって治療後5年以降の再発・転移のしやすさに違いがみられることが分かりました。
なお、グラフ描画解析システム「KapWeb(2012年より一般公開)」により、5年及び10年生存率について、がん種、病期、治療法などの条件設定で検索してグラフで見ることができます。
国立がん研究センターは、今回のデータの活用法として、患者さんの治療選択や経過把握の参考としての利用を挙げています。
「わが国におけるがん登録の整備に関する研究」10年生存率初集計
国立がん研究センター プレスリリース(1/20)
記事:川村 千恵
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