5月10日、中外製薬株式会社は、免疫チェックポイント阻害薬PD-L1抗体 アテゾリズマブ(米国商品名テセントリク)のプラチナ製剤併用の化学療法施行中または施行後に増悪した、局所進行または転移性尿路上皮がんを対象とした第3相臨床試験であるIMvigor211試験において、主要評価項目である全生存期間(OS)の統計学的に有意な延長が認められなかったことを発表した。
アテゾリズマブの「プラチナ製剤併用の化学療法施行中または施行後に増悪した、局所進行または転移性尿路上皮がん」に対する臨床試験成績としては、第2相臨床試験であるIMvigor210試験にて良好な成績を示していたが、第3相臨床試験である本試験となったIMvigor211試験(NCT02302807)において全生存期間(OS)における統計学的有意性は示さなかった。その要因として、有効性について、アテゾリズマブ群の成績はIMvigor 210試験と同様であったものの、化学療法群の成績が当初の想定よりも良好だったとのこと。
膀胱がん 免疫チェックポイント阻害薬アテゾリズマブが進行膀胱がん患者の約1/4に奏効 ASCO2016(オンコロニュース20160802)
詳細については、今後公開される予定とのこと。
中外製薬株式会社 上席執行役員 プロジェクト・ライフサイクルマネジメントユニット長の伊東 康は、「これまでに実施された臨床試験では、局所進行または転移性尿路上皮癌の患者さんにおけるアテゾリズマブの有用性を示せていただけに、今回の結果は非常に残念です」と述べるとともに、「今後の開発計画について検討するために、試験成績の詳細を把握すべく、ロシュ社と協議していきます」と語っている。
記事;可知 健太
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