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がんのリスク因子として約70%の人が喫煙・日焼けを認知しているが、アルコールは約30%の人しか認知していない

  • [公開日]2017.11.18
  • [最終更新日]2017.11.18

2017年11月7日、アルコールは摂取量に関係なく乳がん、大腸がん、食道がん、頭頸部がんなどのがん発症リスクを増加させる因子であることが米国臨床腫瘍学会(ASCO)により集積された科学的根拠で明らかとなった。

さらに米国臨床腫瘍学会(ASCO)の声明では、アルコールはがんの決定的なリスク因子であり、新規発症率や死亡率をそれぞれ5%から6%上昇させる点も強調された。米国臨床腫瘍学会(ASCO)が警鐘する理由としては、アルコールががんのリスク因子であるという事実に対するアメリカ人の認知度の低さにある。

2017年10月24日、米国臨床腫瘍学会(ASCO)が初めて公表した国民調査によればアルコールががんのリスク因子であるという事実を知らないアメリカ人は約70%にも及んだ。なお、本調査は2017年7月10から18日の期間、18歳以上の4016人のアメリカ人を対象に実施したハリス世論調査である。

本調査の結果を受けて、米国臨床腫瘍学会(ASCO)・専門委員会議長・Bruce Johnson氏は以下のように述べている。”ビール、ワイン、リキュールなどのアルコールががん発症率を増加させるという事実にアメリカ国民は気づいていません。しかし、アルコールががん発症のリスク因子であるという事実は決定的であり、そのためがん発症リスクを低下させるための医療ガイダンスを確立し、国民が行動変容するように支援しなければなりません。”

以上のように、アルコールががん発症のリスク因子であるという事実に対する国民の認知度を高め、それによりアルコールの消費量を減少させ、がん発症リスクを低下させる必要がある。そのために、2017年11月7日、医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』にも掲載された過剰なアルコール摂取量を減らすための科学的根拠ある以下のような方法を推奨する必要がある。

・アルコール摂取のスクリーング検査、臨床で簡易な指導をする
・アルコール類販売量を調整する
・アルコール類を値上げし、アルコール税を増税する
・アルコール類を販売する日時を制限する
・未成年者へのアルコール類の販売を禁止する法律の施行を強化する
・アルコール類に関係した広告の青年に対する暴露量を制限する
・小売り店によるアルコール類販売の民営化緩和を阻止する
・総合的ながん対策計画の戦略の1つとしてアルコール摂取量の制限を導入する
・アルコール飲料の販売促進としての「ピンクウォッシュ」の使用を排除する努力を支援する

以上のような方法を推奨することに対して米国臨床腫瘍学会(ASCO)の出した声明の作成者の1人であるウィスコンシン大学・Noelle K. LoConte氏は以下のように述べている。”米国臨床腫瘍学会(ASCO)は増加するがんの治療に積極的に参加し、国の保健機関も適度なアルコール摂取ががん発症のリスク因子となることを認識しているように、アルコールの摂取制限はがんを防ぐ方法の1つです。朗報としては、日焼け止めを塗ることで皮膚がんのリスクを軽減させるのと同様に、アルコールの摂取制限をすることでがん発症のリスクを軽減できるのです。”

過剰なアルコール摂取はがんの発症リスクを高めるだけでなく、がんの治療効果に悪影響を与え、治療効果の発現を遅らせる。そのため、腫瘍内科医は患者がアルコール摂取量の制限に成功するよう、人種、宗教、性別など多種多様な患者背景を理解し、アルコールががんのリスク因子であるという事実を認知するように啓発し、彼らの行動変容をサポートする役割が求められる。

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