2017年11月30日、前治療歴のある進行性または転移性非小細胞肺がん患者に対するニボルマブ(商品名オプジーボ)単剤療法の有効性を検証したCheckMate-078試験(NCT02613507)において、主要評価項目である全生存期間(OS)が対照群に対してオプジーボ投与群で統計学的有意であることが判明したため、データモニタリング委員会(DMC)により試験の早期中止勧告を受けたことをブリストル・マイヤーズ スクイブ社が自社のプレスリリースで公表した。
CheckMate-078試験とは、プラチナ製剤ベースの2剤併用化学療法後に増悪したステージIIIb/IV非小細胞肺がん患者(N=504人)に対して2週間に1回の投与間隔でオプジーボ3mg/kgを投与する群、または3週間に1回の投与間隔でドセタキセル(商品名タキソテール)75mg/m2を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目である全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同オープンラベルの第III相試験である。
なお本試験は主に中国人を対象とした臨床試験であり、患者504人のうち中国からは451人、ロシアからは45人、シンガポールからは8人の患者が登録されている。
本試験の途中結果、主要評価項目である全生存期間(OS)はタキソテール単剤療法群よりもオプジーボ単剤療法群で優越性が確認されたために試験は早期中止となった。また安全性プロファイルの結果は、他の固形がん種で確認された副作用と一致していた。
以上の臨床試験結果に基づき、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は治療歴のある非小細胞肺がんの適応でオプジーボの生物製剤承認一部変更申請(sBLA) を中華人民共和国国家食品薬品監督管理総局(CFDA)へ提出した。
本試験の結果を受け、Guangdong General Hospital・教授であり臨床試験の代表治験医師であるYi-Long Wu氏は以下のように述べている。”治療歴のある中国人非小細胞肺がん患者を対象に、主要評価項目である全生存期間(OS)がタキソテール群よりもオプジーボ群で優れることを初めて証明したCheckMate-078試験の結果に我々は興奮しております。オプジーボは治療歴のある中国人非小細胞肺がん患者に対する初のがん免役療法になることでしょう。患者さんが可能な限り早期にがん免役療法の恩恵を受けられることを我々は望みます。”
また、ブリストル・マイヤーズ スクイブ社・胸部悪性腫瘍担当開発責任者であるNick Botwood氏は以下のように述べている。”CheckMate-078試験は、前治療のある転移性非小細胞肺がん患者に対するオプジーボの有効性を証明した3番目の臨床試験です。中国人にとって肺がんは最も死亡の多いがん種ですので、中国人を対象とした第III相試験においてオプジーボが全生存期間(OS)の優越性を初めて証明した抗PD-1抗体薬であるという事実は非常に臨床的意義が高いことでしょう。オプジーボの臨床開発研究を通じて、未だにアンメッドメディカルニーズが満たされていない患者さんの生存延長に貢献できるよう我々は今後も努めてまいります。”
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