2018年1月22日、医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』にて小児専門の緩和ケアであるSpecialized Pediatric Palliative Care(SPPC)で治療を受けることによる集中治療室入院率、人工呼吸器使用率、院内死亡率のリスク比を検証したレトロスペクティブ試験の結果がUniversity of Toronto・Kimberley Widger氏らにより公表された。
本試験は、2000年より2012年の間でアメリカ合衆国・オンタリオ州にてがんで死亡した小児(N=572人)を対象に、小児専門の緩和ケア(SPPC)を受けた小児患者29%(N=166人)、一般的な緩和ケアを受けた小児患者17.5%(N=100人)、緩和ケアを受けてない小児患者53.5%(N=306人)に分けて、集中治療室入院率、人工呼吸器使用率、院内死亡率などの終末期ケアの強度を比較検証したレトロスペクティブ試験である。
小児専門の緩和ケア(SPPC)を受ける小児患者の特徴として関連性が低い要素としては、血液がん患者であること(オッズ比0.3)、所得が低いこと(オッズ比0.4)、治療を受ける病院より離れた場所に住んでいること(オッズ比0.5)であった。
本試験の結果、小児専門の緩和ケア(SPPC)を受けた小児患者の集中治療室入院率は5倍減少する(オッズ比0.2)ことを示した。このような減少効果は、一般的な緩和ケアを受けた小児患者においては確認されなかった。
以上のレトロスペクティブ試験の結果より、Kimberley Widger氏らは以下のように述べている。”小児専門の緩和ケア(SPPC)は一般的に認知度が低いが、小児がん患者の終末期における集中治療室入院率の減少に関連していることが証明されました。本試験より得られた結果は、小児専門の緩和ケア(SPPC)での治療を受ける意義を啓発するために重要な科学的根拠になるでしょう。”
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