2017年12月15日、医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』にてホルモン受容体陽性HER2陽性閉経後転移性乳がん患者に対するラパチニブ(商品名タイケルブ;以下タイケルブ)+トラスツズマブ(商品名ハーセプチン;以下ハーセプチン)+アロマターゼ阻害薬(AI)併用療法の有効性を検証したALTERNATIVE試験の結果がイギリス・ロンドンにある王立マーズデン病院のStephen R.D. Johnston氏らにより公表された。
ALTERNATIVE試験とは、前治療としてホルモン療法またはハーセプチン+化学療法による治療歴のあるホルモン受容体陽性HER2陽性閉経後転移性乳がん患者(N=355人)に対してタイケルブ+ハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法を投与する群(N=120人)、タイケルブ+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法を投与する群(N=118人)、ハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法を投与する群(N=120人)に1:1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目であるハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法に対するタイケルブ+ハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法の無増悪生存期間(PFS)を比較検証した多施設共同の第III相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法群5.7ヶ月に対してタイケルブ+ハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法群11.0ヶ月、タイケルブ+ハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法により病勢進行または死亡(PFS)のリスクが38%(ハザード比:0.62,95%信頼区間:0.45-0.88,P=0.0064)統計学的有意に減少することを示した。
なお、タイケルブ+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法の無増悪生存期間(PFS)中央値は8.3ヶ月であり、ハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法群に比べて病勢進行または死亡(PFS)のリスクが29%(ハザード比:0.71,95%信頼区間:0.51-0.98,P=0.0361)減少することを示した。
一方の安全性としては、タイケルブ+ハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法群において15%以上の患者で確認された最も一般的な有害事象(AE)は下痢69%、皮膚障害36%、吐き気22%、爪囲炎30%であった。そして、ほとんどの有害事象(AE)はグレード1または2であり、重篤な有害事象(SAE)は3群間で同等であることを示した。
以上のALTERNATIVE試験の結果より、ホルモン受容体陽性HER2陽性閉経後転移性乳がん患者に対するタイケルブ+ハーセプチン+治験医師の選択したアロマターゼ阻害薬(AI)併用療法の有効性、安全性が証明された。
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