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進行性胃がん又は食道胃接合部腺がん患者の三次治療以降としてのキイトルーダ単剤療法、客観的奏効率(ORR)は11.6%を示す医学誌『JAMA Oncology』より

  • [公開日]2018.03.20
  • [最終更新日]2018.03.20
この記事の3つのポイント
・2レジメン以上の治療歴のある進行性胃がん又は食道胃接合部腺がん患者に対する標準治療は確立していない。
・進行性胃がん又は食道胃接合部腺がん患者に対するキイトルーダ単剤療法の治療歴別の客観的奏効率ORR)は2レジメンの治療歴のある患者で16.4%、3レジメンの治療歴のある患者で6.4%。
・2レジメン以上の治療歴のある進行性胃がん又は食道胃接合部腺がん患者に対するキイトルーダ単剤療法でグレード4または5の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は1人もいない。

2018年3月15日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性胃がん又は食道胃接合部腺がん患者に対するペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性を検証した第II相のKEYNOTE-059試験(NCT02335411)の結果がYale Cancer Center・Charles S. Fuchs氏らにより公表された。

KEYNOTE-059試験とは、2レジメン以上の治療歴のある進行性胃がん又は食道胃接合部腺がん患者に対して3週を1サイクルとして1日目にキイトルーダ200mg単剤療法を投与する群(コーホート1)、未治療進行性胃がん又は食道胃接合部腺がん患者に対して3週を1サイクルとして1日目にキイトルーダ200mg+1日目にシスプラチン80mg/m2(※6サイクルまで)+1日-5日目5-FU800mg/m2又は1日-14日目に1日2回カペシタビン(商品名ゼローダ)1000mg/m2を投与する群(コーホート2)、未治療進行性胃がん又は食道胃接合部腺がん患者に対して3週を1サイクルとして1日目にキイトルーダ200mg単剤療法を投与する群(コーホート3)の3コーホートに分け、主要評価項目としてRECIST 1.1 に基づく客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)などを検証した国際多施設共同シングルアームオープンラベルの第II相試験である。なお、本研究はコーホート1に登録された患者に対するキイトルーダ単剤療法の有効性を検証した結果である。

本試験に登録されたコーホート1(N=259人)の患者背景は下記の通りである。年齢中央値62.0歳(24-89歳)。性別は男性76.4%(N=198人)、女性23.6%(N=61人)。人種は白人77.2%(N=200人)、アジア人15.8%(N=41人)、黒人1.9%(N=5人)、その他5.0%(N=13人)。ECOG Performance Statusはスコア0が41.3%(N=107人)、スコア1が58.3%(N=151人)、スコア2が0.4%(N=1人)。

原発腫瘍部位は胃48.3%(N=125人)、食胃接合部51.4%(N=133人)。転移個数は0-2個69.1%(N=179人)、3個以上30.5%(N=79人)。前治療歴は2レジメン51.7%(N=134人)、3レジメン29.0%(N=75人)、4レジメン13.5%(N=35人)、5レジメン以上5.8%(N=15人)。HER2ステータスは陽性24.3%(N=63人)、陰性74.9%(N=194人)、Intermediate 0.8%(N=2人)。PD-L1発現率は陽性57.1%(N=148人)、陰性42.1%(N=109人)、不明0.8%(N=2人)。

上記背景を有する患者に対してキイトルーダ単剤療法を投与した結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は11.6%(N=30人,95%信頼区間:8.0%-16.1%)、客観的奏効率(ORR)を達成した患者の内完全奏効(CR)を達成した患者は2.3%(N=6人,95%信頼区間:0.9%-5.0%)。また、客観的奏効期間(ORR)中央値は2.1ヶ月(1.7-6.6ヶ月)を示した。

副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は8.4ヶ月(1.6-17.3ヶ月)、客観的奏効率(ORR)を達成した30人の内16人の患者(53.3%)で病勢進行(PD)を経験しなかった。

また、本試験ではPD-L1発現率別(PD-L1 IHC 22C3 pharmDx 「ダコ」により腫瘍細胞におけるPD-L1発現率1%以上として定義)、前治療歴別の客観的奏効率(ORR)についても検証しており、その結果は下記の通りである。まず、PD-L1発現率別の客観的奏効率(ORR)はPD-L1発現率陽性患者で15.5% (95%信頼区間:10.1%-22.4%)、客観的奏効率(ORR)を達成した患者の内完全奏効(CR)を達成した患者は2.0%(95%信頼区間:0.4%-5.8%)を示した。一方、PD-L1発現率陰性患者で6.4% (95%信頼区間:2.6%-12.8%)、客観的奏効率(ORR)を達成した患者の内完全奏効(CR)を達成した患者は2.8%(95%信頼区間:0.6%-7.8%)を示した。また、奏効持続期間(DOR)中央値はPD-L1発現率陽性で16.3ヶ月(1.6-17.3ヶ月)、PD-L1発現率陽性で6.9ヶ月(2.4-7.0ヶ月)を示した。

次に、前治療歴別の客観的奏効率(ORR)は2レジメンの治療歴のある患者で16.4% (95%信頼区間:10.6%-23.8%)、3レジメンの治療歴のある患者で6.4% (95%信頼区間:2.8%-12.2%) を示した。なお、2レジメンの治療歴のあるPD-L1発現率陽性患者の客観的奏効率(ORR)は22.7% (95%信頼区間:13.8%-33.8%)、客観的奏効率(ORR)を達成した患者の内完全奏効(CR)を達成した患者は2.7% (95%信頼区間:0.3%-9.3%)を示した。一方で2レジメンの治療歴のあるPD-L1発現率陰性患者の客観的奏効率(ORR)は8.6% (95%信頼区間:2.9%-19.0%)、客観的奏効率(ORR)を達成した患者の内完全奏効(CR)を達成した患者は3.4% (95%信頼区間:0.4%-11.9%) を示した。

一方の安全性として、少なくとも5%以上の患者に生じたグレードの問わない治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。疲労18.9%(N=49人)、掻痒8.9%(N=23人)、皮膚障害8.5%(N=22人)、甲状腺機能低下症7.7%(N=20人)、食欲減退7.3%(N=19人)、貧血6.9%(N=18人)、吐き気6.9%(N=18人)、下痢6.6%(N=17人)、関節痛5.8%(N=15人)。

また、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。疲労2.3%(N=6人)、皮膚障害0.8%(N=2人)、甲状腺機能低下症0.4%(N=1人)、貧血2.7%(N=7人)、吐き気0.8%(N=2人)、下痢1.2%(N=3人)、関節痛0.4%(N=1人)。なお、グレード4または5の治療関連有害事象(TRAE)を発症した患者は1人も確認されなかった。

そして、キイトルーダなど免疫療法特有の自己免疫疾患関連副作用(irAE)は17.8%(N=46人)の患者で発症し、その内訳は下記の通りである。甲状腺機能低下症8.9%(N=23人)、甲状腺機能亢進症3.5%(N=9人)、大腸炎2.3%(N=6人)。なお、グレード3または4の自己免疫疾患関連副作用(irAE)を発症した患者は4.6%(N=12人)であったが、グレード5(致命的)の自己免疫疾患関連副作用(irAE)を発症した患者は1人も確認されなかった。

以上のKEYNOTE-059試験の結果よりCharles S. Fuchs氏らは以下のように結論を述べている。”2レジメン以上の治療歴のある進行性胃がん又は食道胃接合部腺がん患者さんに対するキイトルーダ単剤療法は忍容性もあり、客観的奏効率(ORR)11.6%を示しました。そして、PD-L1発現率の有無に関係なく奏効期間が持続することが本試験により示されました。”

Safety and Efficacy of Pembrolizumab Monotherapy in Patients With Previously Treated Advanced Gastric and Gastroesophageal Junction Cancer Phase 2 Clinical KEYNOTE-059 Trial(JAMA Oncol. Published online March 15, 2018. doi:10.1001/jamaoncol.2018.0013)

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