・米国において肺がんはがんの中でも最も死亡率の高いがんである
・米国予防医療専門委員会(USPSTF)は1年間の喫煙量が30箱以上である55歳から80歳の現または過去15年以内の喫煙者に対して低線量CT検査(LDCT)を受診することで肺がんによる死亡が避けられる声明を出している
・米国における低線量CT検査(LDCT)を実施している1796の施設を対象にした2016年度の肺がんスクリーン検査の受診率はわずか1.9%を示した
2018年5月16日、2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催される米国癌治療学会議(ASCO 2018)に先立って行われた報道解禁プレスキャストにて、米国予防医療専門委員会(USPSTF)が実施した2016年度肺がんスクリーン検査の検診率結果がJames Graham Brown Cancer Center・Danh Pham氏らにより公表された。
本分析結果は、米国放射線学会(ACR)より提供された2016年時の肺がんスクリーニング検査のデータベースに基づいて、低線量CT検査(LDCT)を実施している1796の施設を対象に肺がんスクリーン検査の受診率を解析した。
なお、受診率を算出するにあたり低線量CT検査(LDCT)の受診を推奨すべき予測患者数は、米国予防医療専門委員会(USPSTF)の定義に順じて1年間の喫煙量が30箱以上である55歳から80歳の現または過去15年以内の喫煙者とした。
本分析の結果、低線量CT検査(LDCT)を受診すべき予測患者数は米国の北部で1,152,141人、中西部で2,020,045人、南部で3,072,095人、西部で1,368,694人、合計7,612,975人であった。
この内、低線量CT検査(LDCT)を受診した実際の患者数は国の北部で40,105人(3.5%)、中西部で38,931人(1.9%)、南部で47,966人(1.6%)、西部で14,080人(1.0%)、合計141,260人(1.9%)であった。なお、低線量CT検査(LDCT)を受診した現喫煙者の内約95%に対して禁煙指導が実施された。
以上の分析結果を受けてDanh Pham氏らは以下のように結論を述べている。”米国予防医療専門委員会(USPSTF)が推奨する患者は低線量CT検査(LDCT)を受診することで肺がんにより死亡を避けることができます。それにも関わらず、乳がん、大腸がんにおける検診の受診率に比べて著しく低率である理由は明らかになっていません。そのため、肺がんスクリーニング検査の受診率を向上させる啓発プログラムをはじめとした取り組みが必要になります。”
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