・少なくとも2レジメン以上の治療歴のある局所進行性転移性大腸がん患者に対するテセントリク+コビメチニブ併用療法は全生存期間(OS)においてスチバーガ単剤療法に対するを優越性を示すことができなった
・テセントリク+コビメチニブ併用療法の治療関連有害事象(TRAE)は既存の安全性プロファイルと一致していた
・マイクロサテライト不安定性のない(MSS)大腸がん患者に対してテセントリク単剤療法は臨床的意義ある有効性を示さなかった。
2018年5月9日、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社のプレスリリースにて複数治療歴のある局所進行性または転移性大腸がん患者に対する抗PD-L1抗体薬であるアテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+MEK阻害薬であるコビメチニブ併用療法のレゴラフェニブ(商品名スチバーガ;以下スチバーガ)に対する有効性を比較検証した第III相のIMblaze370試験(NCT02788279)の結果が公表された。
IMblaze370試験とは、少なくとも2レジメン以上の治療歴のある局所進行性または転移性大腸がん患者(N=363人)に対して28日を1サイクルとして1日、15日目にテセントリク+1日から21日目にコビメチニブ併用療法を投与する群、または21日を1サイクルとして1日目にテセントリク単剤療法を投与する群、または28日を1サイクルとして1日から21日目にスチバーガ単剤療法を投与する群に2:1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)を比較検証した国際多施設共同非盲検下の第III相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)はスチバーガ単剤療法に対するテセントリク+コビメチニブ併用療法の優越性を示さなかった。なお、本試験に登録された95%以上の患者はマイクロサテライト不安定性のない(MSS)大腸がんであり、テセントリク単剤療法は臨床的意義ある有効性を示さなかった。
一方の安全性として、テセントリク+コビメチニブ併用療法の治療関連有害事象(TRAE)は既存の安全性プロファイルと一致しており、IMblaze370試験で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなかった。
以上のIMblaze370試験の結果より、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社・最高医学責任者兼国際開発責任者であるSandra Horning氏は以下のように述べている。”IMblaze370試験は我々の期待に反する結果になりました。しかし、本試験以外にも大腸がん患者さんに対してテセントリクの有効性を検証している進行中の試験は複数あります。今回の試験結果が、将来出てくる臨床試験の結果に対して参考になるでしょう。”
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