・COLUMBUS試験とは、BRAF遺伝子変異を有するステージIIIB/IIIC/IV悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対してBRAF阻害剤であるエンコラフェニブ+MEK阻害剤であるビニメチニブ併用療法、エンコラフェニブ単剤療法、またはゼルボラフ単剤療法の有効性を比較検証した第III相試験である
・本試験の副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群33.6ヶ月、エンコラフェニブ単剤群23.5ヶ月、ゼルボラフ単剤群16.9ヶ月、ゼルボラフ単剤群と比べてエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群で死亡(OS)のリスクを統計学的有意に39%減少した
・本試験の主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群14.9ヶ月、エンコラフェニブ単剤群9.6ヶ月、ゼルボラフ単剤群7.3ヶ月、ゼルボラフ単剤群と比べてエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群では病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学的有意に49%減少した
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するBRAF阻害剤であるエンコラフェニブ(LGX818)+MEK阻害剤であるビニメチニブ(MEK162)併用療法、またはエンコラフェニブ単剤療法、またはベムラフェニブ(商品名ゼルボラフ;以下ゼルボラフ)単剤療法それぞれの有効性を比較検証した第III相のCOLUMBUS試験(NCT01909453)の結果がUniversity Hospital Zürich Skin Cancer Center・Reinhard Dummer氏らにより公表された。
COLUMBUS試験とは、BRAF遺伝子変異を有するステージIIIB/IIIC/IV悪性黒色腫(メラノーマ)患者(N=577人)に対して1日1回エンコラフェニブ450mg+1日2回ビニメチニブ45mg併用療法を投与する群(N=192人)、または1日1回エンコラフェニブ300mg単剤療法を投与する群(N=194人)、または1日2回ゼルボラフ960mg単剤療法を投与する群(N=191人)に1:1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)などを比較検証した国際多施設共同オープンラベルの第III相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値21.5ヶ月時点における結果は下記の通りである。副次評価項目である全生存期間(OS)中央値はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群33.6ヶ月(95%信頼区間:24.4-39.2ヶ月)、エンコラフェニブ単剤群23.5ヶ月(95%信頼区間:19.6-33.6ヶ月)、ゼルボラフ単剤群16.9ヶ月(95%信頼区間:14.0-24.5ヶ月)。ゼルボラフ単剤群と比べてエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群では死亡(OS)のリスクを統計学的有意に39%減少(ハザード比:0.61,95%信頼区間:0.47-0.79,両側検定P<0.001)した。
また、前解析時点よりアップデート解析された主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群14.9ヶ月(95%信頼区間:11.0–20.2ヶ月)、エンコラフェニブ単剤群9.6ヶ月(95%信頼区間:7.4–14.8ヶ月)、ゼルボラフ単剤群7.3ヶ月(95%信頼区間:5.6–7.9ヶ月)。ゼルボラフ単剤群と比べてエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用群では病勢進行または死亡(PFS)のリスクを統計学的有意に49%減少(ハザード比:0.51,95%信頼区間:0.39–0.67)した。
以上のCOLUMBUS試験の結果よりReinhard Dummer氏らは以下のように述べている。”BRAF遺伝子変異を有する根治切除不能な悪性黒色腫(メラノーマ)患者に対するエンコラフェニブ+ビニメチニブ併用療法は全生存期間(OS)中央値33.6ヶ月、無増悪生存期間(PFS)中央値14.9ヶ月を示し、新しい標準治療レジメンとしての可能性が示唆されました。”
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