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再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するB細胞成熟抗原(BCMA)標的CAR-T細胞療法bb2121、最良奏効率(BOR)95.5%を示す

  • [公開日]2018.07.04
  • [最終更新日]2019.02.21
この記事の3つのポイント
・再発難治性多発性骨髄腫患者に対してB細胞成熟抗原(BCMA)を標的にした第2世代CAR-T細胞療法であるbb2121の安全性有効性を検証した用量漸増の第I相試験である
・本試験の主要評価項目である治療関連有害事象(TRAE)は、bb2121によりCAR-T細胞療法特有の有害事象(AE)であるサイトカイン放出症候群CRS)は全グレードで63%、グレード3以上で5%、神経毒性は全グレードで33%、グレード3以上で2%の患者で確認された
・本試験の副次評価項目である用量別の最良奏効率(BOR rate)はbb21212(50×10の6乗)群33.3%、bb21212(150×10の6乗)群57.1%、bb21212(150×10の6乗以上)群95.5%を示し、bb21212の最良奏効率(BOR rate)は用量依存性を示した

2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、再発難治性多発性骨髄腫(RRMM)患者に対するB細胞成熟抗原(BCMA)を標的にした第二世代CAR-T細胞療法であるbb2121の有効性、安全性を検証した第I相試験(NCT02658929)の結果がMassachusetts General Hospital Cancer Center・Noopur Raje氏らにより公表された。

本試験は、再発難治性多発性骨髄腫患者に対して低用量シクロホスファミド300mg/m2+フルダラビン30mg/m2による前処置後にbb2121を投与し、主要評価項目として治療関連有害事象(TRAE)発症率、副次評価項目として最良奏効率(BOR rate)などを検証した用量漸増の第I相試験である。

なお、本試験は用量漸増コーホート(N=21人)、拡大コーホート(N=22人)の2つのコーホートより成っており、用量漸増コーホートでは腫瘍細胞におけるBCMA発現率50%以上のプロテアソーム阻害剤(PI)、免疫調整剤(IMiDs)を含む3レジメン以上の治療歴のある患者、拡大コーホートでは腫瘍細胞におけるBCMA発現率を問わないダラツムマブ(商品名ダラザレックス)を含む直近治療に抵抗性を示した患者を対象にしている。

本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は用量漸増コーホート58歳(37-74歳)、拡大コーホート65歳(44-75歳)。性別は男性62%(N=13人)、73%(N=16人)。診断時からの期間中央値は4年(1-16年)、6年(1-36年)。ECOG Performance Statusはスコア0が48%(N=10人)、27%(N=6人)、スコア1が52%(N=11人)、72%(N=16人)。遺伝子異常(del(17p),t(4;14),t(14;16))を有する患者は38%(N=8人)、41%(N=9人)。前治療歴中央値は7レジメン(3-14レジメン)、8レジメン(2-23レジメン)。自家造血幹細胞移植歴は100%(N=21人)、86%(N=19人)。

以上の背景を有する患者に対する主要評価項目である治療関連有害事象(TRAE)発症率の結果は下記の通りである。bb2121投与により、CAR-T細胞療法特有の有害事象(AE)であるサイトカイン放出症候群(CRS)は全グレードで63%(N=27人)、グレード3以上で5%(N=2人)、神経毒性は全グレードで33%(N=14人)、グレード3以上で2%(N=1人)の患者で確認され、致死的なサイトカイン放出症候群、神経障害は認められなかった。

また、その他の治療関連有害事象(TRAE)としては全グレードの好中球減少症は81%(N=35人)、血小板減少症は61%(N=26人)、貧血は56%(N=24人)、感染症61%(N=26人)の患者で確認された。

副次評価項目である最良奏効率(BOR rate)は下記の通りである。用量別の最良奏効率(BOR rate)はbb21212(50×10の6乗)群33.3%、bb21212(150×10の6乗)群57.1%、bb21212(150×10の6乗以上)群95.5%を示し、最良奏効率(BOR rate)は用量依存性であった。また、BCMA発現率別の最良奏効率(BOR rate)はBCMA低発現群100%、BCMA高発現群91%を示し、最良奏効率(BOR rate)はBCMA発現とは関連がなかった。

無増悪生存期間PFS)中央値はbb21212(50×10の6乗)群で2.7ヶ月、bb21212(150×10の6乗以上)群で11.8ヶ月であった。また、微小残存病変MRD)評価可能であった患者(N=16人)全てでMRD陰性が確認され、その患者における無増悪生存期間(PFS)中央値は17.7ヶ月であった。

以上の第I相試験の結果よりNoopur Raje氏らは以下のように結論を述べている。”再発難治性多発性骨髄腫患者に対するB細胞成熟抗原(BCMA)を標的にした第二世代CAR-T細胞療法である用量150×10の6乗以上のbb2121は最良奏効率(BOR rate)95.5%を示し、無増悪生存期間(PFS)中央値11.8ヶ月を示しました。また、用量800×10の6乗以上のbb2121により発症したサイトカイン放出症候群の大半はグレード1、2であり支持療法により管理可能でした。”

bb2121 anti-BCMA CAR T-cell therapy in patients with relapsed/refractory multiple myeloma: Updated results from a multicenter phase I study.(ASCO 2018, Abstaract No.8007)

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