・PI3K阻害薬Alpelisibとフルベストラント併用療法が閉経後ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がん患者にて有効
・PI3k変異陽性患者で無増悪生存期間が約2倍
・ホルモン受容体陽性乳がん患者の約40%でPIK3CA変異陽性が確認されている
2018年10月19日~23日までドイツ・ミュンヘンで開催されている欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)にてアロマターゼ阻害薬(AI)治療後の閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者に対するPI3Kα特異的阻害薬であるAlpelisib+フルベストラント併用療法の有効性を比較検証した第III相のSOLAR-1試験(NCT02437318)の結果が公表された。
SOLAR-1試験とは、アロマターゼ阻害薬(AI)治療後の閉経後のホルモン受容体陽性HER2陰性進行性乳がん患者(N=572人)に対して1日1回Alpelisib 300mg+28日を1サイクルとして1日目(初回サイクルは1日目、15日目)にフルベストラント500mg併用療法を投与する群、またはプラセボ+28日を1サイクルとして1日目(初回サイクルは1日目、15日目)フルベストラント500mg併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPIK3CA変異を有する患者群における無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)、PIK3CA変異のない患者群における無増悪生存期間(PFS)などを比較検証した無作為化二重盲検プラセボ対照の第III相試験である。なお、本試験に登録された全患者群の内、341人の患者でPIK3CA変異陽性が確認されている。
本試験が実施された背景としてホルモン受容体陽性乳がん患者の約40%でPIK3CA変異陽性が確認されており、PIK3CA変異を有する患者ではホルモン療法に対する抵抗性を示したり、腫瘍進行しやすい特徴がある。そのため、PI3Kα特異的阻害薬であるAlpelisibの有効性を確認する目的で本試験が実施されている。
本試験のフォローアップ期間中央値20.0ヶ月時点における結果、主要評価項目であるPIK3CA変異を有する患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値はAlpelisib群11.0ヶ月に対してプラセボ群5.7ヶ月、Alpelisib群で約2倍の無増悪生存期間(PFS)を示し、病勢進行または死亡(PFS)のリスクを35%統計学有意に減少(HR:0.65,95%信頼区間:0.50–1.25, P = 0.00065)した。
副次評価項目であるPIK3CA変異のない患者群における無増悪生存期間(PFS)中央値はAlpelisib群7.4ヶ月に対してプラセボ群5.6ヶ月、Alpelisib群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを15%減少(HR:0.85,95%信頼区間:0.58–1.25)するものの統計学有意な差は確認されなかった。また、PIK3CA変異を有する患者群における客観的奏効率(ORR)はAlpelisib群36%に対してプラセボ群16%(P=0.0002)を示した。
以上のSOLAR-1試験の結果より、Institut Gustave Roussy・Fabrice André氏は次のようなコメントを述べている。”AlpelisibはPIK3CA変異を有する進行性乳がん患者に対して有効性を示した最初の治療薬になります。”
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