2019年1月17日~1月19日まで米国・サンフランシスコで開催された消化器癌シンポジウム(ASCO GI 2019)にて術前化学放射線療法治療後に病理学的完全奏効(pCR)が得られずR0切除した局所進行性食道腺がんまたは食道胃接合部腺がんに対する術後化学療法としての抗PD-L1抗体薬であるデュルバルマブ(商品名イミフィンジ;イミフィンジ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相試験(NCT02639065)の結果がIndiana University・Hirva Mamdani氏らにより公表された。
本試験は、術前化学放射線療法治療後に病理学的完全奏効(pCR)が得られずR0切除した局所進行食道腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者(N=24人)に対して4週を1サイクルとしてイミフィンジ1500mg単剤療法を1年間投与し、主要評価項目として1年無再発生存率(RFS)、副次評価項目として安全性を検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、進行性食道腺がんまたは食道胃接合部腺がん患者に対する標準治療は化学放射線療法後の外科的切除であるが、その1年無再発生存率(RFS)は約50%、病理学的完全奏効(pCR)が得られず、リンパ節転移を認める場合は75~80%である。以上の背景より、術後化学療法としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジの有効性を検証するため本試験が実施された。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は60歳(43~70歳)。癌種は食道胃接合部腺がん14人、食道腺がん10人。術前化学放射線療法後の外科的切除時におけるリンパ節転移はN1が29.2%(N=7人)、N2が37.5%(N=9人)、N3が12.5%(N=3人)。以上の背景を有する患者に対する本試験の追跡期間中央値は14.5ヶ月時点における結果は下記の通りである。
主要評価項目である1年無再発生存率(RFS)は79.2%、26ヶ月時点で推定される1年無再発生存率(RFS)は67.9%を示した。一方の安全性として、10%以上で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は倦怠感、吐き気、咳、下痢、痒み、呼吸困難であった。また、グレード3の治療関連有害事象(TRAE)発症率は12.5%(N=3人)で、それぞれ肺炎、肝炎、大腸炎であった。なお、グレード4以上の治療関連有害事象(TRAE)は1人も確認されなかった。No.
以上の第2相試験の結果よりIndiana University・Hirva Mamdani氏らは以下のように結論を述べている。”局所進行性食道腺がんまたは食道胃接合部腺がんに対する術後化学療法としての抗PD-L1抗体薬イミフィンジ単剤療法は忍容性、有効性ともに良好でした。”