・BRAF V600E遺伝子変異陽性固形がん患者が対象の第2相の胆道がんコホートの結果
・タフィンラー+メキニスト併用療法の有効性を検証
・客観的奏効率は42%、奏効例の50%で6ヶ月を超える奏効期間が確認
2019年1月17日~1月19日まで米国・サンフランシスコで開催された消化器がんシンポジウム(ASCO GI 2019)にてBRAF V600E遺伝子変異陽性固形がん患者に対するダブラフェニブ(商品名タフィンラー;以下タフィンラー)+トラメチニブ(商品名メキニスト;以下メキニスト)併用療法の有効性を検証した第2相のROAR basket trial試験(NCT02034110)における胆道がんコホートの結果がUniversity of California Los Angeles School of MedicineのZev A. Wainberg氏らにより公表された。
本試験は、18歳以上のBRAF V600E遺伝子変異陽性の切除不能/再発胆道がん患者(N=35人)に対して1日2回タフィンラー150mg+1日1回メキニスト2mg併用療法を病勢進行または予期せぬ有害事象(AE)が発現するまで投与し、主要評価項目として担当医師判断による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)病勢制御割合(DCR)、全生存期間(OS)などを検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、胆道がんにおけるBRAF V600E遺伝子変異陽性率は5~7%であり、他のがん種に比べて少ないながらも一定数存在する。そして、胆道がんは治療選択肢が少なく予後不良であるため、BRAF V600E遺伝子変異を治療標的としてたタフィンラー、メキニストが新しい治療選択肢として期待されている。本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は57歳。前治療は2レジメン以上の治療歴ある患者80%(N=28人)。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である担当医師判断による客観的奏効率(ORR)は42%(N=14/33人)を示し、また奏効例の内7名(50%)で6ヶ月を超える奏効期間が確認された。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値は9.2ヶ月(95%信頼区間:5.4-10.1ヶ月)、全生存期間(OS)中央値は11.7ヶ月(95%信頼区間:7.5-17.7ヶ月)を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は発熱40%、皮疹29%、吐き気23%、下痢23%、疲労23%、グレード3/4の治療関連有害事象(TRAE)発症率57%(N=27人)を示した。
以上のROAR basket trial試験における胆道がんコホートの結果より、Zev A. Wainberg氏らは以下のように結論を述べている。”BRAF V600E遺伝子変異陽性の切除不能/再発胆道がん患者に対するタフィンラー+メキニスト併用療法は忍容可能な毒性、有望な抗腫瘍効果を示しました。そして、胆道がんにおいてBRAF V600Eは検索すべき遺伝子変異であることが本試験より示唆されました。”
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