・未治療の局所進行性または転移性PD-L1陽性非小細胞肺がん患者が対象の第3相試験
・キイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を化学療法と比較検証
・PD-L1発現率50%、20%、1%以上の患者群で死亡リスクをそれぞれ31%、23%、19%有意に改善
2019年4月4日、医学誌『The Lancet』にて未治療の局所進行性または転移性PD-L1陽性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-042試験(NCT02220894)の結果がChinese University of Hong KongのTony S K Mok氏らにより公表された。
KEYNOTE-042試験とは、未治療の局所進行性または転移性PD-L1陽性非小細胞肺がん患者(N=1274人)に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を投与する群(N=637人)、または主治医選択のプラチナ系ベースの化学療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1発現率50%、20%、1%以上の患者群における全生存期間(OS)を比較検証した国際多施設共同オープンラベルの第3相試験である。
本試験が実施された背景としては、抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法によりPD-L1発現率50%以上の未治療の局所進行性または転移性非小細胞肺がん患者で無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を改善する結果が報告されているためである。以上の背景より、PD-L1発現率1%以上の未治療の局所進行性または転移性非小細胞肺がん患者群における抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法の有用性が本試験により検証された。
本試験の追跡期間中央値12.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はPD-L1発現率50%以上群でキイトルーダ群20.0ヶ月(95%信頼区間:15.4-24.9ヶ月)に対して化学療法群12.2ヶ月(95%信頼区間:10.4-14.2ヶ月)、20%以上群でキイトルーダ群17.7ヶ月(95%信頼区間:15.3-22.1ヶ月)に対して化学療法群13.0ヶ月(95%信頼区間:11.6-15.3ヶ月)、1%以上群でキイトルーダ群16.7ヶ月(95%信頼区間:13.9-19.7ヶ月)に対して化学療法群12.1ヶ月(95%信頼区間:11.3-13.3ヶ月)を示した。
また、PD-L1発現率50%、20%、1%以上それぞれのキイトルーダによる治療を受けた患者群で死亡(OS)のリスクを31%(95%信頼区間:0.56-0.85,P=0.0003)、23%(95%信頼区間:0.64-0.92,P=0.0020)、19%(95%信頼区間:0.71-0.93,P=0.00018)統計学的有意に改善した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ群18%(N=113人)に対して化学療法群41%(N=252人)の患者で確認された。また、治療関連有害事象(TRAE)により死亡に至った患者はキイトルーダ群2%(N=13人)に対して化学療法群2%(N=14人)の患者で確認された。
以上のKEYNOTE-042試験の結果よりChinese University of Hong Kong・Tony S K Mok氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の局所進行性または転移性PD-L1陽性非小細胞肺がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ単剤療法は、PD-L1発現率1%以上の患者群においても予後を改善しました。”
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