・治療歴のある再発難治性古典的ホジキンリンパ腫患者が対象の第2相試験
・Camrelizumab単剤療法とデシタビン併用療法の有効性・安全性を比較検証
・完全奏効率は単剤療法群で32%、併用療法群で71%だった
2019年4月30日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて治療歴のある再発難治性古典的ホジキンリンパ腫患者に対する抗PD-1抗体薬であるCamrelizumab(SHR-1210)単剤療法、DNAメチル化阻害薬であるデシタビン併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相試験の結果がChinese People’s Liberation Army General HospitalのJing Nie氏らにより公表された。
本試験は、少なくとも2レジメン治療歴のある再発難治性古典的ホジキンリンパ腫患者に対して3週を1サイクルとして1日目にCamrelizumab 200mg単剤療法を投与する群、または8日目にCamrelizumab 200mg+1~5日目にデシタビン10mg/日併用療法を投与する群に1対2の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として完全奏効率(CR)、安全性などを比較検証したオープンラベルの第2相試験である。
本試験が実施された背景として、再発難治性古典的ホジキンリンパ腫患者に対する抗PD-1抗体薬単剤療法は高い客観的奏効率(ORR)を示すことが判っているが、完全奏効率(CR)を達成する機会は稀である。DNAメチル化阻害薬であるデシタビンはT細胞機能を活性化させることが他の臨床試験でも示されており抗PD-1抗体薬との併用療法の有用性が期待されている。以上の背景より、治療歴のある再発難治性古典的ホジキンリンパ腫患者に対するCamrelizumab+デシタビン併用療法の有用性が本試験で検証されることになった。
本試験に登録された86人の患者、フォローアップ期間中央値14.9ヶ月時点における結果は下記の通りである。抗PD-1抗体薬ナイーブ患者における主要評価項目である完全奏効率(CR)はCamrelizumab単剤療法群で32%(N=6/19人)に対してCamrelizumab+デシタビン併用療法群で71%(N=30/42人)、Camrelizumab単剤療法よりもCamrelizumab+デシタビン併用療法で高い完全奏効率(CR)を示した(P=0.003)。6ヶ月奏効持続期間率(DOR)はCamrelizumab単剤療法群76%に対してCamrelizumab+デシタビン併用療法群100%を示した。
また、抗PD-1抗体薬治療歴のある患者における主要評価項目である完全奏効率(CR)はCamrelizumab+デシタビン併用療法群で28%、部分奏効率(PR)24%を示した。なお、6ヶ月奏効持続期間率(DOR)はCamrelizumab+デシタビン併用療法群で81%を示した。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された有害事象(AE)としてはリンパ球減少症、チェリー血管腫であったが、これら有害事象(AE)の原因は患者起因によりもので臨床的重要な有害事象(AE)ではなかった。
以上の第2相試験の結果よりJing Nie氏らは以下のように結論を述べている。”治療歴のある再発難治性古典的ホジキンリンパ腫抗PD-1抗体薬ナイーブ患者に対する抗PD-1抗体薬Camrelizumab+デシタビン併用療法は、Camrelizumab単剤療法に比べて臨床的意義のある完全奏効率(CR)を示しました。そして、本治療は免疫機能を再活性化させる可能性が示唆されました。”
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