・VEGF阻害薬治療歴のある転移性腎細胞がん患者を対象とするリアルワールドデータ
・オプジーボ、カボザンチニブ単剤療法の有効性・安全性をレトロスペクティブに検証
・両治療法ともに同患者の2次治療の選択肢となりうる可能性が示唆
2019年4月26日、医学誌『Current Oncology』にて治療歴のある転移性腎細胞がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)、マルチキナーゼ阻害薬であるカボザンチニブ単剤療法の有効性、安全性をレトロスペクティブに検証したnternational Metastatic Renal Cell Carcinoma Databaseに基づくリアルワールドデータがUniversity of CalgaryのIgor Stukalin氏らにより公表された。
本リアルワールドデータは、VEGF阻害薬治療歴のある転移性腎細胞がん患者に対する2次治療としてのオプジーボ単剤療法が投与された患者(N=225人)、またはカボザンチニブ単剤療法(N=53人)が投与された患者を解析対象とし、主要評価項目として全生存期間(OS)、治療成功期間(TTF)を比較検証している。
本試験が実施された背景として、現在進行中の臨床試験にて転移性腎細胞がん患者に対する2次治療としてのオプジーボベース、またはカボザンチニブベースの治療法の有用性が比較検証されている。以上の背景より、本リアルワールドデータではVEGF阻害薬治療歴のある転移性腎細胞がん患者に対するオプジーボ単剤療法、カボザンチニブ単剤療法のそれぞれの有用性を検証している。
本試験の結果、主要評価項目である全生存期間(OS)中央値はオプジーボ単剤療法群22.10ヶ月(95%信頼区間:17.18ヶ月−未到達)に対してカボザンチニブ単剤療法23.70ヶ月(95%信頼区間:15.52ヶ月−未到達)、両群間に統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.61)。
また、もう1つの主要評価項目である治療成功期間(TTF)中央値はオプジーボ単剤療法群6.90ヶ月(95%信頼区間:4.60-9.20ヶ月)に対してカボザンチニブ単剤療法7.39ヶ月(95%信頼区間:5.52-12.85ヶ月)、全生存期間(OS)同様に両群間に統計学的有意な差は確認されなかった(P=0.20)。
以上のリアルワールドデータの結果よりIgor Stukalin氏らは以下のように結論を述べている。”VEGF阻害薬治療歴のある転移性腎細胞がん患者に対する2次治療としてのオプジーボ単剤療法、カボザンチニブ単剤療法は全生存期間(OS)、治療成功期間(TTF)においてほぼ同様の結果を示しました。以上の結果より、両治療法ともに本患者の治療選択肢になりうる可能性が示唆されました。”
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