・マイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)大腸がん患者が対象の試験
・腫瘍遺伝子変異量(TMB)が免疫チェックポイント(CP)阻害薬の効果予測因子となり得るかを検証
・TMBは免疫CP阻害薬の効果の指標である客観的奏効率、無増悪生存期間に非常に強い相関関係を示した
2019年4月30日、医学誌『Annals of Oncology』にてマイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)大腸がん患者における腫瘍遺伝子変異量(TMB)は免疫チェックポイント阻害薬の効果予測因子としてなり得るかどうかを検証した試験の結果がCity of Hope Comprehensive Cancer CenterのM Fakih氏らにより公表された。
本試験は、抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)をはじめ、免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けたマイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)大腸がん患者(N=22人)に対し、次世代シーケンシング(NGS)により腫瘍遺伝子変異量(TMB)を測定。腫瘍遺伝子変異量(TMB)が免疫チェックポイント阻害薬の効果予測因子となり得るかどうかを検証している。
本試験の結果、腫瘍遺伝子変異量(TMB)は免疫チェックポイント阻害薬の効果の指標である客観的奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)に非常に強い相関関係を示すことが証明された(OR,P<0.001)。例えば、腫瘍遺伝子変異量(TMB)の高い患者(N=13人)全ては奏効を示したにも関わらず、腫瘍遺伝子変異量(TMB)の低い患者(N=9人)の内6人は病勢進行を示した。
また、腫瘍遺伝子変異量(TMB)の高い患者におけるフォローアップ期間中央値18ヶ月以上時点における無増悪生存期間(PFS)中央値は未到達であるにも関わらず、腫瘍遺伝子変異量(TMB)の低い患者における無増悪生存期間(PFS)中央値は3ヶ月を示した。
以上の試験結果よりM Fakih氏らは以下のように結論を述べている。”マイクロサテライト不安定性が高い(MSI-H)大腸がん患者における腫瘍遺伝子変異量(TMB)は、免疫チェックポイント阻害薬の重要な効果予測因子になる可能性が示唆されました。”
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