・前治療歴のある進行再発上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん患者が対象の第2相試験
・キイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を検証
・単剤療法は適度な抗腫瘍効果を示し、PD-L1発現率の高い患者で良好な奏効を確認
2019年5月2日、医学誌『Annals of Oncology』にて進行再発上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん患者に対する抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のKEYNOTE-100試験(NCT02674061)の結果がDana-Farber Cancer InstituteのU A Matulonis氏らにより公表された。
KEYNOTE-100試験とは、前治療歴のある進行再発上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん患者(N=376)に対して3週間に1回キイトルーダ200mg単剤療法を病勢進行、予期せぬ有害事象(AE)発現、または投与期間2年経過するまで投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、PD-L1の発現レベルに準じた客観的奏効率(ORR)、副次的評価項目として奏効持続期間(DOR)、病勢制御率(DCR)、安全性などを検証した第2相試験である。なお、PD-L1の発現レベルはCPS(=【[PD-L1陽性の腫瘍細胞+リンパ球+マクロファージ数]/全細胞数】×100) により測定している。
また、患者は2つのコーホートに分かれており、コーホートA(N=285人)は前治療歴1〜3レジメンで無治療期間(TFI)またはプラチナ製剤による治療終了後から再びプラチナ製剤投与までの期間(PFI)が3〜12ヶ月経過している患者、コーホートB(N=91人)は前治療歴4〜6レジメンで無治療期間(TFI)またはプラチナ製剤による治療終了後から再びプラチナ製剤投与までの期間(PFI)が3ヶ月以上経過している患者である。
本試験の結果、主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はコーホートAで7.4%、コーホートBで9.9%を示した。また、奏効持続期間(DOR)中央値はコーホートAで8.2ヶ月、コーホートBで未到達を示した。なお、病勢制御率(DCR)はコーホートAで37.2%、コーホートBで37.4%を示した。また、もう1つの主要評価項目であるPD-L1の発現レベルに準じた客観的奏効率(ORR)はCPS<1の患者で4.1%、CPS≥1で5.7%、CPS≥10で10.0%を示した。
その他評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はコーホートAで2.1ヶ月、コーホートBで2.1ヶ月を示した。また、全生存期間(OS)中央値はコーホートAで未到達、コーホートBで17.6ヶ月を示した。一方の安全性として、卵巣がん患者に対するキイトルーダ単剤療法の安全性プロファイルは他の臨床試験で確認されているものと一致しており、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。
以上のKEYNOTE-100試験の結果よりU A Matulonis氏らは以下のように結論を述べている。”進行再発上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤療法は、適度な抗腫瘍効果を示しました。特に、PD-L1発現率の高い患者においては良好な奏効が確認されました。”
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