・PD-L1陽性HER2陰性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者が対象の第3相試験
・ファーストライン治療としてのキイトルーダ単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・死亡リスクはキイトルーダ単剤群と化学療法群で同等だった
2019年5月31日から6月4日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO2019)にて、進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-062試験(NCT02494583)の結果がVall d’Hebron Barcelona Hospital University Hospital and Institute of OncologyのJosep Tabernero氏らにより公表された。
KEYNOTE-062試験とは、PD-L1陽性HER2陰性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者(N=763人)に対するファーストライン治療としての3週を1サイクルとして1日目にキイトルーダ200mg単剤療法を投与する群、3週を1サイクルとして1日目にキイトルーダ200mg+1日目にシスプラチン80mg/m2+1~5日目に5-FU 800mg/m2もしくは1~14日目に1日2回カペシタビン1000mg/m2を投与する群、または3週を1サイクルとしてプラセボ+1日目にシスプラチン80mg/m2+1~5日目に5-FU 800mg/m2もしくは1~14日目に1日2回カペシタビン1000mg/m2を投与する群の3群に分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である。
本試験に登録された患者背景は下記の通りである。年齢中央値は62歳。がんの種類は胃がん69%、胃食道接合部がん30%。PD-L1ステータスはCPSスコア1以上100%、CPSスコア10以上37%(N=281人)。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目であるCPSスコア1以上の患者群における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ単剤群10.6ヶ月に対して化学療法群11.1ヶ月、死亡(OS)リスクは化学療法群に対してキイトルーダ単剤群で非劣勢を示した(HR:0.91)。
また、CPSスコア10以上の患者群における全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ単剤群17.4ヶ月に対して化学療法群10.8ヶ月、キイトルーダ単剤群で死亡(OS)リスクを31%臨床的に意義のある減少を示した(HR:0.69)。なお、2年全生存率(OS)はキイトルーダ単剤群39%に対して化学療法群22%を示した。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ単剤群17%、キイトルーダ+化学療法群73%、化学療法群69%を示し、重篤な有害事象(SAE)発症率はキイトルーダ単剤群で最も低率であった。最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は吐き気、疲労であった。なお、本試験で新たに確認された治療関連有害事象(TRAE)はなく、既存の臨床試験で示されている安全性プロファイルと一致していた。
以上のKEYNOTE-062試験の結果よりJosep Tabernero氏らは以下のように結論を述べている。”PD-L1陽性HER2陰性進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者に対するファーストライン治療としてのキイトルーダ単剤療法は、化学療法に比べて全生存期間(OS)で非劣勢を示しました。本治療は進行性胃がんまたは胃食道接合部がん患者の新しい標準治療になり得る可能性が示唆されました。”
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