・脳転移を有するALK陽性進行性非小細胞肺がん患者が対象の第2相試験
・ジカディア単剤療法の有効性・安全性を検証
・頭蓋内全奏効率は27.6%~51.5%と高い奏効率を示した
2019年9月27日より10月1日まで、スペイン/バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)にて、脳転移を有するALK陽性進行性非小細胞肺がん患者に対するALK阻害薬であるセリチニブ(商品名ジカディア;以下ジカディア)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2相のASCEND-7試験(NCT02336451)の結果がDell Medical School, University of Texas at AustinのLaura Q. Chow氏らにより公表された。
ASCEND-7試験とは、1つ以上の頭蓋外の測定可能な病変を有するALK陽性進行性非小細胞肺がん患者に対して1日1回ジカディア750mg単剤療法を投与し、主要評価項目として全奏効率(ORR)、重要な副次評価項目として病勢コントール率(DCR)、頭蓋内奏効率、頭蓋外奏効率を検証した第2相相試験である。
なお、本試験は前治療歴別に下記のアームに分けられている。Arm1(N=42人)は脳放射線療法+ALK阻害薬の治療歴のある患者、Arm2(N=40人)はALK阻害薬の治療歴のある患者、Arm3(N=12人)は脳放射線療法治療歴のある患者、Arm4(N=44人)は脳放射線療法+ALK阻害薬の治療歴のない患者の4つのアームである。
本試験の結果、主要評価項目である全奏効率(ORR)はArm1群35.7%(95%信頼区間:21.6%-52.0%)に対してArm2群30.0%(95%信頼区間:16.6%-46.5%)に対してArm3群50.0%(95%信頼区間:21.1%-78.9%)に対してArm4群59.1%(95%信頼区間:43.2%-73.7%)を示した。
重要な副次評価項目である病勢コントール率(DCR)はArm1群66.7%(95%信頼区間:50.5%-80.4%)に対してArm2群82.5%(95%信頼区間:67.2%-92.7%)に対してArm3群66.7%(95%信頼区間:34.9%-90.1%)に対してArm4群70.5%(95%信頼区間:54.8%- 83.2%)を示した。
奏効持続期間(DOR)中央値はArm1群10.8ヶ月(95%信頼区間:4.1ヶ月-未到達)に対してArm2群12.8ヶ月(95%信頼区間:3.7-17.3ヶ月)に対してArm3群未到達(95%信頼区間:11.7ヶ月-未到達)に対してArm4群9.2ヶ月(95%信頼区間:7.3-23.9ヶ月)を示した。
全無増悪生存期間(PFS)中央値はArm1群7.2ヶ月(95%信頼区間:3.3-10.9ヶ月)に対してArm2群5.6ヶ月(95%信頼区間:3.6-9.2ヶ月)に対してArm3群未到達(95%信頼区間:1.0ヶ月-未到達)に対してArm4群7.9ヶ月(95%信頼区間:5.5-9.4ヶ月)を示した。
全生存期間(OS)中央値はArm1群24.0ヶ月(95%信頼区間:12.6ヶ月-未到達)に対してArm2群未到達(95%信頼区間:16.2ヶ月-未到達)に対してArm3群未到達(95%信頼区間:1.0ヶ月-未到達)に対してArm4群未到達(95%信頼区間:26.5ヶ月-未到達)を示した。
頭蓋内全奏効率(ORR)はArm1群39.3%(95%信頼区間:21.5%-59.4%)に対してArm2群27.6%(95%信頼区間:12.7%-47.2%)に対してArm3群28.6%(95%信頼区間:3.7%-71.0%)に対してArm4群51.5%(95%信頼区間:33.5%-69.2%)を示した。
頭蓋内病勢コントール率(DCR)はArm1群75.0%(95%信頼区間:55.1%-89.3%)に対してArm2群82.8%(95%信頼区間:64.2%-94.2%)に対してArm3群85.7%(95%信頼区間:42.1%-99.6%)に対してArm4群75.8%(95%信頼区間:57.5%- 88.9%)を示した。
頭蓋外全奏効率(ORR)はArm1群31.0%(95%信頼区間:17.6%-47.1%)に対してArm2群42.5%(95%信頼区間:27.0%-59.1%)に対してArm3群41.7%(95%信頼区間:15.2%-72.3%)に対してArm4群61.4%(95%信頼区間:45.5%-75.6%)を示した。
頭蓋外病勢コントール率(DCR)はArm1群69.0%(95%信頼区間:52.9%-82.4%)に対してArm2群92.5%(95%信頼区間:79.6%-98.4%)に対してArm3群66.7%(95%信頼区間:34.9%-90.1%)に対してArm4群72.7%(95%信頼区間:57.2%- 85.0%)を示した。
一方の安全性として、各アーム50%以上の患者で確認された全グレードの有害事象(AE)は下痢、悪心、ALT上昇、嘔吐、AST上昇、食欲減退であった。
ASCEND-7試験の結果よりLaura Q. Chow氏らは以下のように結論を述べている。”脳転移を有するALK陽性進行性非小細胞肺がん患者に対するALK阻害薬ジカディアは、前治療歴としてALK阻害薬の有無に関わらず高い奏効率を示しました。”
Ceritinib Targets Brain Metastases in Patients with ALK-positive NSCLC[ESMO 2019 Oncology news]
リサーチのお願い
この記事に利益相反はありません。