・新規に進行性卵巣がんとして診断された患者が対象の第3相試験
・PARP阻害薬ニラパリブ単剤療法の有効性・安全性を検証
・相同組換え修復異常陽性患者も含め、プラセボ群に対して無増悪生存期間を統計学的有意に改善
2019年9月27日より10月1日まで、スペイン/バルセロナで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2019)にて、進行性卵巣がん患者に対するPARP阻害薬でニラパリブ単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第3相試験(NCT02655016)の結果がClinica Universidad de Navarra in MadridのAntonioGonzález Martín氏らにより公表された。
本試験は、新規に進行性卵巣がんとして診断された患者に対して1日1回ニラパリブ300mg単剤療法を投与する群(N=487人)、またはプラセボ療法を投与する群(N=246人)に分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。なお、本試験に参加した約50%の患者が相同組換え修復異常(HRD)陽性である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はニラパリブ群13.8ヶ月(95% 信頼区間:11.5–14.9ヶ月)に対してプラセボ群8.2ヶ月(95% 信頼区間:7.3–8.5ヶ月)、ニラパリブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを38%統計学的有意に改善した(HR:0.62,95% 信頼区間:0.5–0.75,P<0.0001)。
また、サブグループ解析の結果、相同組換え修復異常(HRD)陽性群における無増悪生存期間(PFS)中央値はニラパリブ群21.9ヶ月(95% 信頼区間:19.3ヶ月-未到達)に対してプラセボ群10.4ヶ月(95% 信頼区間:8.1–12.1ヶ月)、ニラパリブ群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを57%統計学的有意に改善した(HR:0.43,95% 信頼区間:0.31–0.59,P<0.0001)。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は貧血31%、血小板減少症29%、好中球減少症13%を示した。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人の患者も確認されなかった。
以上の第3相試験の結果より、AntonioGonzález Martín氏らは以下のように結論を述べている。”進行性卵巣がん患者に対するPARP阻害薬ニラパリブ単剤療法は、相同組換え修復異常(HRD)陽性患者も含め、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善しました。”
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