・複数治療歴のある再発難治性急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫患者が対象の第1相試験
・経口BCL-2阻害薬ベネクレクス+Navitoclax(ABT-263)+化学療法の有効性・安全性を検証
・副次評価項目である全患者群における客観的奏効率は56%と、良好な抗腫瘍効果を示した
2019年12月7日より10日まで米国フロリダ州オーランドで開催された第61回米国血液学会(ASH2019)にて、複数治療歴のある再発難治性急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫患者に対する経口BCL-2阻害薬ベネトクラクス(商品名:ベネクレクスタ、以下ベネクレクスタ)+Navitoclax(ABT-263)+化学療法の有効性、安全性を検証した第1相試験(NCT03181126)の結果がStanford UniversityのNorman J. Lacayo氏らにより公表された。
本試験は、再発難治性急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫患者に対してベネクレクスタ+Navitoclax+化学療法を投与し、主要評価項目として安全性、用量制限毒性(DLT)など、副次評価項目として客観的奏効率(ORR)などを検証したオープンラベル多施設共同の第1相試験である。
本試験に登録された患者背景(N=36人)は下記の通りである。年齢中央値は小児7人を含む29歳(6‐72歳)。前治療歴は造血幹細胞移植(SCT)14%、CAR-T療法17%を含む4(1‐10)レジメン。病型はB細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)18人、T細胞性急性リンパ性白血病(T-ALL)16人、リンパ芽球性リンパ腫(LLy)2人。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である安全性として、最も多くの患者で確認された治療関連有害事象(TRAE)は吐き気47%、嘔吐42%、下痢42%、低カリウム血症42%、腹痛36%、発熱性好中球減少症33%、ALT上昇31%、好中球減少症31%。病勢進行(PD)とは無関係の致死的な有害事象(AE)を発症した患者は3人で、それぞれ敗血症2人、心停止1人であった。
副次評価項目である全患者群における客観的奏効率(ORR)は56%(N=20人)、完全寛解(CR)、血小板の回復が不完全な完全寛解(CRp)、血液の回復が不完全な完全寛解(CRi)を達成した患者は50%(N=18人)。小児患者群における客観的奏効率(ORR)は56%(N=6/7人)、完全寛解(CR)、血小板の回復が不完全な完全寛解(CRp)、血液の回復が不完全な完全寛解(CRi)達成した患者は71%(N=5人)。
以上の第1相試験の結果より、Norman J. Lacayo氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のある再発難治性急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫患者に対する経口BCL-2阻害薬ベネクレクスタ+Navitoclax+化学療法は、有害事象(AE)により治療中止率、減少率は低く、造血幹細胞移植(SCT)、CAR-T療法を含む複数治療歴のある患者においても良好な抗腫瘍効果を示しました。”
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