・HER2陰性PD-L1陰性の進行性胃がん患者が対象の第2相試験
・ファーストライン治療としてのS-1+オキサリプラチン+キイトルーダ併用療法の有効性・安全性を検証
・フォローアップ期間10.1ヶ月時点の客観的奏効率は72.2%を示し、病勢コントロール率は96.3%だった
2020年1月23日(木)~25日(土)に米国・サンフランシスコにて開催された米国臨床腫瘍学会消化器がんシンポジウム(2020 Gastrointestinal Cancers Symposium)にて、 HER2陰性PD-L1陰性の進行性胃がん患者に対するファーストライン治療としてのS-1+オキサリプラチン+抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を検証した第2相のKEYNOTE-659試験(NCT03382600)の結果が神戸市立医療センター中央市民病院の安井 久晃氏らにより公表された。
KEYNOTE-659試験とは、 HER2陰性PD-L1陰性の進行性胃がん患者に対するファーストライン治療としてS-1 40~60mg+オキサリプラチン130mg/m2+キイトルーダ200mg併用療法を投与し、主要評価項目として盲検下独立中央判定(BICR)による客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、盲検下独立中央判定(BICR)による病勢コントロール率(DCR)などを検証した第2相試験である。
本試験が実施された背景として、進行性胃がん患者(N=54人)に対するファーストライン治療の標準治療はS-1+プラチナ系抗がん剤の併用療法である。しかしながら、KEYNOTE-059試験にて進行性胃がん患者に対する抗PD-1抗体薬キイトルーダ+プラチナ系抗がん剤は臨床的意義のある抗腫瘍効果を示すことが明らかになった。以上の背景より、HER2陰性PD-L1陰性の進行性胃がん患者に対するS-1+オキサリプラチン+キイトルーダ併用療法の有用性を検証する目的でKEYNOTE-659試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間10.1ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である盲検下独立中央判定(BICR)による客観的奏効率(ORR)は72.2%(95%信頼区間:58.4%-83.5%)を示した。また、副次評価項目である盲検下独立中央判定(BICR)による病勢コントロール率(DCR)は96.3%(95%信頼区間:87.3%-99.5%)を示した。無増悪生存期間(PFS)中央値は9.4ヶ月(95%信頼区間:6.6ヶ月-未到達)、全生存期間(OS)、奏効持続期間(DOR)中央値は未到達であった。
一方の安全性として、グレード3以上の有害事象(AE)発症率は57.4%(N=31人)を示し、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の有害事象(AE)は下記の通りである。血小板減少性14.8%、好中球減少症13.0%、大腸炎7.4%、副腎機能不全5.6%。なお、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は1人の患者でも確認されなかった。
以上のKEYNOTE-659試験の結果より安井 久晃氏らは以下のように結論を述べている。”HER2陰性PD-L1陰性の進行性胃がん患者に対するファーストライン治療としてのS-1+オキサリプラチン+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法は、臨床的意義のある抗腫瘍効果を示しました。”
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