・未治療の進行淡明細胞型腎細胞がん患者が対象の第3相試験のQALY(質調整生存年)評価の結果
・キイトルーダ+インライタ併用療法とその他の治療法と比較
・スーテントやパゾパニブの単剤療法などと比べて、費用対効果が高かった
2020年2月13日~15日に米国・サンフランシスコで開催された泌尿器がんシンポジウム2020 (Genitourinary Cancers Symposium)にて、未治療の進行淡明細胞型腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+アキシチニブ(商品名インライタ;インライタ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-426試験のQALY(Quality-adjusted life years;質調整生存年)評価の結果がCornell UniversityのArielle G. Bensimon氏らにより公表された。
QALY(質調整生存年)とは完全な健康状態を1、死亡を0としてQOLを数値化し、そこに生存年を掛けて算出している。費用対効果評価では、QALY(質調整生存年)の数値が高ければ高いほど効果が高いことを意味する。
KEYNOTE-426試験とは、未治療の進行淡明細胞型腎細胞がん患者に対して3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+1日2回インライタ5mg併用療法を投与する群、または6週を1サイクルとして最初の4週間に1日1回スニチニブ(商品名スーテント;以下スーテント)50mg単剤療法を投与する群に無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)を比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値12.8ヶ月時点における結果、12ヶ月全生存率(OS)はキイトルーダ群89.9%に対してスーテント群78.3%(HR:0.53,95%信頼区間:0.38~0.74,P<0.0001)、全生存期間(OS)を統計学的有意に改善した。また、無増悪生存期間(PFS)中央値はキイトルーダ群15.1ヶ月に対してスーテント群11.1ヶ月(HR:0.69,95%信頼区間:0.57~0.84,P<0.001)、無増悪生存期間(PFS)を統計学的有意に改善した。
以上の臨床試験の結果より、未治療の進行淡明細胞型腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としてのキイトルーダ+インライタ併用療法を、その他の治療法であるスーテント単剤療法、パゾパニブ単剤療法、ニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)+インライタ併用療法、カボザンチニブ単剤療法と比べた時のQALY(質調整生存年)結果は下記の通りである。
全患者群におけるQALY(質調整生存年)はキイトルーダ+インライタ群で5.86、スーテント群で3.14、パゾパニブ群で3.46を示した。また、それぞれの治療費は米国における2018年時点の薬価をベースに算出しており、年間治療費はキイトルーダ+インライタ群で514,838ドル、スーテント群で95,761ドル、パゾパニブ群で128,165ドルを示した。
IMDCリスク分類によるIntermediateもしくはPoorリスク患者群におけるQALY(質調整生存年)はキイトルーダ+インライタ群で4.96、スーテント群2.35、オプジーボ+インライタ群で3.90、カボザンチニブ群で3.18である。また、それぞれの治療費は米国における2018年時点の薬価をベースに算出しており、年間治療費はキイトルーダ+インライタ群で480,673ドル、スーテント群223,141ドル、オプジーボ+インライタ群で330,678ドル、カボザンチニブ群で475,043ドルである。
以上のKEYNOTE-426試験のQALY(質調整生存年)評価の結果よりArielle G. Bensimon氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の進行淡明細胞型腎細胞がん患者に対するファーストライン治療としてのキイトルーダ+インライタ併用療法は費用対効果の高い治療方法であり、本患者の治療選択肢として考慮すべきです。”
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