5月7日、第一三共株式会社(以下、第一三共)は、トラスツズマブ デルクステカンについて、HER2陽性の胃がんにかかわる効能または効果を追加する製造販売承認事項の一部変更承認を国内で申請したと発表した。
胃がんは、世界で5番目に多いがん種であり、がん種別の死亡数では第3位。また、世界における発症率では、日本は第3位である。約2割の胃がん患者にHER2(がん細胞の成長を促進するたんぱく質)が過剰発現しているが、トラスツズマブに抵抗を持つHER2過剰発現の胃がんでは、他の抗HER2療法がないため、高いアンメット・メディカル・ニーズがある。
トラスツズマブ デルクステカンは、HER2に対する抗体と薬物を適切に結合させた抗体薬物複合体(ADC)であり、がん細胞に発現している標的因子に結合する抗体を介して薬物をがん細胞へ直接届ける。それにより、薬物の全身曝露を抑えつつがん細胞への攻撃力を高める効果がある。
今回の申請は、トラスツズマブを含む2つ以上の前治療を受けたHER2陽性の進行・再発胃がん患者または胃食道接合部腺がん患者を対象に日本と韓国で実施された第2相臨床試験(DESTINY-Gastric01)および日米共同第1相臨床試験の結果に基づいて行われた。
第一三共は、「がん治療における新たな治療の選択肢を提供することで、患者さんに貢献できるものと期待しております」と述べている。トラスツズマブ デルクステカンは、他にHER2発現乳がん、非小細胞肺がんおよび大腸がんなどを対象とした臨床試験も実施中。
トラスツズマブ デルクステカンとは
トラスツズマブ デルクステカンは、第一三共とアストラゼネカ株式会社が共同で開発・商業化している薬剤であり、厚生労働省よりがん化学療法後に増悪したHER2の過剰発現が確認された治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する治療として、先駆け審査指定を受けている。先駆け審査指定とは、生命に重大な影響がある重篤な疾患等に対して極めて高い有効性が期待される医薬品や再生医療等製品等を指定し、日本の患者に世界で最先端の治療薬を最も早く提供することを目指した制度。
参照元:
第一三共株式会社 ニュースリリース
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