・治療歴のある進行性/転移性脱分化型脂肪肉腫患者が対象の第2/3相試験
・Selinexor(セリネクソール)単剤療法の有効性・安全性をプラセボと比較検証
・Selinexor群の無増悪生存期間は2.8ヶ月、次の治療開始までの期間の中央値は5.8ヶ月であり、
いずれもプラセボに対して改善した
4月8日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて治療歴のある進行性/転移性脱分化型脂肪肉腫患者に対するXPO1阻害薬であるSelinexor(セリネクソール)単剤療法の有効性、安全性を検証した第2/3相のSEAL試験(NCT02606461)の結果がMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのMrinal M. Gounder氏らにより公表された。
本試験は、治療歴のある進行性/転移性脱分化型脂肪肉腫患者(N=285人)に対して6週を1サイクルとして1日2回Selinexor 60mg単剤療法を実施する群(N=188人)、もしくはプラセボ単剤療法を実施する群(N=97人)に2対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として次の治療開始までの期間(TNT)、全生存期間(OS)などを比較検証した多施設共同ランダム化二重盲検下プラセボ対照の第2/3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はSelinexor単剤群の2.8ヶ月に対してプラセボ群で2.1ヶ月と、プラセボ群に比べてSelinexor単剤群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを30%減少(HR:0.70、95%信頼区間:0.52-0.95、P=0.011)した。
副次評価項目である次の治療開始までの期間(TNT)中央値はSelinexor単剤群の5.8ヶ月に対してプラセボ群で3.2ヶ月と、プラセボ群に比べてSelinexor単剤群で次の治療開始までの期間(TNT)を改善した(HR:0.50、95%信頼区間:0.37-0.66、P<0.0001)した。全生存期間(OS)中央値は、両群間で統計学的有意な差は確認されなかった。
一方の安全性として、多くの患者で確認されたグレード3もしくは4の治療関連有害事象(TRAE)は下記の通りである。吐き気がSelinexor単剤群の80.7%(N=151人)に対してプラセボ群で5.9%(N=11人)、食欲減退がSelinexor単剤群の60.4%(N=113人)に対してプラセボ群で7.5%(N=14人)、疲労がSelinexor単剤群の51.3%(N=96人)に対してプラセボ群で6.4%(N=12人)。なお、死亡率はSelinexor単剤群で2.1%(N=4人)、プラセボ群で3.1%(N=3人)であった。
以上のSEAL試験の結果よりMrinal M. Gounder氏らは「治療歴のある進行性/転移性脱分化型脂肪肉腫患者に対するXPO1阻害薬Selinexor単剤療法は、プラセボに比べて無増悪生存期間(PFS)、次の治療開始までの期間(TNT)を改善しました」と結論を述べている。
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