・複数治療歴のある進行性胃がん/大腸がん患者が対象の第1b相試験
・スチバーガ+オプジーボ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・客観的奏効率は40%を示し、がん種別では胃がん44%、大腸がん36%だった
2020年4月28日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて複数治療歴のある進行性胃がん/大腸がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるレゴラフェニブ(商品名スチバーガ;以下スチバーガ)+抗PD-1抗体薬であるニボルマブ(商品名オプジーボ;以下オプジーボ)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第1b相のREGONIVO/EPOC1603試験(NCT03406871)の結果が国立がん研究センター東病院・設樂 紘平氏らにより公表された。
REGONIVO/EPOC1603試験とは、複数治療歴のある進行性胃がん/大腸がん患者に対して28日を1サイクルとして1~21日目に1日1回スチバーガ80-160mg+2週を1サイクルとしてオプジーボ3mg/kg併用療法を投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)を検証した第1b相試験である。
本試験が開始された背景として、抗PD-1抗体薬をはじめ免疫チェックポイント阻害薬は胃がん、大腸がんを含む複数のがんに対して高い抗腫瘍効果を示している。しかしながら、依然として免疫チェックポイント阻害薬に対して抵抗性を示す場合もある。以上の背景より、基礎試験の結果、スチバーガ+抗PD-1抗体薬併用療法で高い抗腫瘍効果が確認されたため本試験が開始された。
本試験に登録された50人の患者背景は下記の通りである。がんの種類は胃がん25人、大腸がん25人。前治療歴は2レジメン以上。前治療歴の種類は抗VGFR抗体96%、免疫チェックポイント阻害薬7%。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である用量制限毒性(DLT)は50人の内3人の患者で確認され、その内訳はグレード3の穿孔、黄斑丘疹発疹、タンパク尿であった。なお、用量制限毒性(DLT)が確認されたスチバーガの用量は1日1回スチバーガ160mgであり、80mg、120mg群では確認されなかった。また、最も多くの患者で確認されたグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は発疹、タンパク尿、手足症候群であった。
一方の有効性として、客観的奏効率(ORR)は40%(N=20人)を示し、がん種の内訳としては胃がん44%(N=11人)、大腸がん36%(N=9人)。無増悪生存期間(PFS)中央値は胃がん群5.6ヶ月、大腸がん群7.9ヶ月を示した。
以上のREGONIVO/EPOC1603試験の結果より、国立がん研究センター東病院・設樂 紘平氏らは以下のように結論を述べている。”複数治療歴のある進行性胃がん/大腸がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるスチバーガ+抗PD-1抗体薬であるオプジーボ併用療法は、1日1回スチバーガ80mgの用量で忍容性は良好であり、有望な抗腫瘍効果を示しました。”
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