・エンザルタミド/アビラテロン治療後に病勢進行した局所進行性転移性固形がん患者が対象の第1/2相試験
・抗PD-L1抗体薬テセントリク+マルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブ併用療法の有効性・安全性
・客観的奏効率(ORR)は32%を示し、病勢コントロール率は80%を示した
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にてエンザルタミド/アビラテロン治療後に病勢進行した局所進行性転移性固形がん患者に対する抗PD-L1抗体薬アテゾリズマブ(商品名テセントリク;以下テセントリク)+マルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブ併用療法の有効性、安全性を検証した第1/2相のCOSMIC-021試験(NCT03170960)の去勢抵抗性前立腺がんコーホートの結果がHuntsman Cancer Institute at the University of UtahのNeeraj Agarwal氏らにより公表される。
COSMIC-021試験とは、エンザルタミド/アビラテロン治療後に病勢進行した転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対して3週を1サイクルとしてテセントリク1200mg+1日1回カボザンチニブ40mg併用療法を投与し、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目として奏効持続期間(DOR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)などを検証した第2/2相試験である。
本試験に登録された44人の患者背景は下記の通りである。年齢中央値は70歳(49-90歳)。ECOG Performance Statusはスコア1が50%。転移部位は内臓34%、リンパ節61%。
以上の背景を有する患者に対する本試験の結果は下記の通りである。主要評価項目である客観的奏効率(ORR)は32%を示し、その奏効の内訳は完全奏効率(CR)4.5%、部分奏効率(PR)27%であった。また、病勢コントロール率は80%を示した。副次評価項目である奏効持続期間(DOR)中央値は6.3ヶ月を示した。なお、ベースライン時点にPSA評価を実施した34人の内、17人の患者で50%減少している。
一方の安全性として、最も多くの患者で確認された全グレードの治療関連有害事象(TRAE)は疲労50%、吐き気43%、食欲減退39%、下痢39%、味覚異常34%、手足症候群32%。なお、1人の患者でグレード5の脱水症状が確認されている。
以上のCOSMIC-021試験の去勢抵抗性前立腺がんコーホートの結果よりNeeraj Agarwal氏らは以下のように結論を述べている。”エンザルタミド/アビラテロン治療後に病勢進行した転移性去勢抵抗性前立腺がん患者に対する抗PD-L1抗体薬テセントリク+マルチキナーゼ阻害薬カボザンチニブ併用療法は、良好な抗腫瘍効果を示し。忍容性も問題ありませんでした。”
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