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オプジーボ・ヤーボイ併用療法を非小細胞肺がんの特定の化学療法に追加するファーストライン治療薬としてFDAが承認ー米ブリストル・マイヤーズスクイブ社ー

  • [公開日]2020.06.01
  • [最終更新日]2020.11.25

5月26日、米ブリストル・マイヤーズスクイブ社は、EGFRやALK遺伝子変異陰性の進行または再発性非小細胞肺がん(NSCLC)の成人患者に対して、オプジーボ(一般名ニボルマブ、以下オプジーボ)とヤーボイ(一般名イピリムマブ、以下ニボルマブ)の併用療法プラチナ製剤を含む2剤併用化学療法2サイクルを追加した併用療法がファーストライン治療薬として米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したと発表した。

ヤーボイはT細胞の活性化と増殖を促し、オプジーボはT細胞によるがん細胞への攻撃を助ける。また、ヤーボイにより活性化したT細胞の一部はメモリーT細胞となり、長期の免疫反応をもたらす可能性がある。オプジーボとヤーボイの併用療法は、この相乗的な作用機序を特徴とし、2つの異なるチェックポイント(PD-1とCTLA-4)を標的とする免疫チェックポイント阻害薬を2剤併用することでがん細胞への攻撃を助ける治療である。

今回の承認は、PD-L1発現レベルや腫瘍の組織型にかかわらず進行または再発性NSCLCに対して、「オプジーボとヤーボイにプラチナ製剤を含む2剤の化学療法を2サイクルを追加した療法」と「プラチナ製剤を含む2剤の化学療法(4サイクル後に適格であればペメトレキセドによる維持療法を任意で施行)」を比較した第3相試験(CheckMate-9LA)の中間解析のデータに基づく。オプジーボとヤーボイの併用療法を追加した群が良好な生存期間(OS)の延長を示した。今回の承認でオプジーボとヤーボイの併用療法は肺がんのファーストラインとしては2つ目、全がん腫においては5種類で6つ目の適応承認となった。

CheckMate-9LA試験の治験担当医師であり、オハイオ州立大学ジェームズ胸部腫瘍センター所長のDavid P.Carbone(M.D.、Ph.D.)氏は「免疫療法薬による2剤併用療法ががん治療において果たす役割と患者さんの長期生存に及ぼし得る影響を理解するにあたり、私たちは大きな進歩を遂げてきました。CheckMate-9LA試験の肯定的な結果は、PD-L1の発現率にかかわらず、化学療法を限定して追加した免疫療法薬の2剤併用療法が、NSCLC患者さんにベネフィットをもたらすことを示しています。今回の承認により、オプジーボとヤーボイの併用療法を含む治療選択肢をさらに多くの患者さんに提供できるようになり、より長期の生存をもたらす可能性があります」と述べている。

肺がんについて
大きく分類すると小細胞肺がんと非小細胞肺がんの2種類に分かれ、非小細胞肺がんは約84%を占める最も一般的な組織型。米国においてもがん死亡の主な原因となっている。

オプジーボとは
オプジーボは、身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬。2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬であり、現在、65カ国以上で承認されている。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっている。2014年にオプジーボの開発元である小野薬品工業と戦略的提携契約を拡張し、日本においても共同開発・商業化している。

ヤーボイとは
ヤーボイは細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CLTA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体。T細胞の活性化を抑制する調節因子であるCTLA-4と結合し、CTLA-4とそのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害する。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクター細胞の活性化と増殖などが促されることが明らかになっている。また、CTLA-のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性がある。ヤーボイは切除不能または転移性悪性黒色腫患者の治療薬として50カ国以上で承認され、複数のがん腫では、幅広い開発プログラムが進められている。

参照元:
ブリストル・マイヤーズスクイズ社 プレスリリース

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