・白金製剤を含む化学療法後に病勢進行が確認されなかった局所進行/転移性尿路上皮がん患者が対象の第3相試験
・維持療法としての抗PD-L1抗体薬バベンチオ+BSC療法の有効性・安全性を比較検証
・BSC単独群に比べて、バベンチオ+BSC併用群で死亡のリスクを31%統計学的有意に改善
2020年5月29日~31日、バーチャルミーティングで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2020)にて白金製剤を含む化学療法後に病勢進行が確認されなかった局所進行/転移性尿路上皮がん患者に対する維持療法としての抗PD-L1抗体薬であるアベルマブ(商品名バベンチオ;バベンチオ)+ベスト・サポーティブ・ケア(BSC)療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のJAVELIN Bladder 100試験(NCT02603432)の結果がBarts Cancer InstituteのThomas Powles氏らにより公表された。
JAVELIN Bladder 100試験とは、白金製剤を含む化学療法後に病勢進行が確認されなかった局所進行/転移性尿路上皮がん患者(N=700人)に対する維持療法として2週を1サイクルとしてバベンチオ10mg/kg+BSC併用療法を投与する群(N=350人)、またはBSC単独療法を投与する群(N=350人)に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全患者群、PD-L1陽性群の全生存期間(OS)、副次評価項目として全患者群、PD-L1陽性群の無増悪生存期間(PFS)、抗腫瘍効果、安全性、薬物動態、免疫原性、バイオマーカー、患者報告アウトカム等を比較検証した国際多施設共同無作為化非盲検の第3相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である全患者群の全生存期間(OS)中央値はバベンチオ+BSC併用群21.4ヶ月に対してBSC単独群14.3ヶ月、バベンチオ+BSC併用群で死亡(OS)のリスクを31%(HR:0.69,95%信頼区間:0.56-0.86,P=0.0005)統計学的有意に改善した。
また、もう1つの主要評価項目であるPD-L1陽性群の全生存期間(OS)中央値はバベンチオ+BSC併用群未到達に対してBSC単独群17.1ヶ月、バベンチオ+BSC併用群で死亡(OS)のリスクを44%(HR:0.56,95%信頼区間:0.40-0.79,P=0.0003)統計学的有意に改善した。
副次評価項目である全患者群の無増悪生存期間(PFS)はバベンチオ+BSC併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを38%(HR:0.62,95%信頼区間:0.52-0.75)減少。PD-L1陽性群の無増悪生存期間(PFS)はバベンチオ+BSC併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを44%(HR:0.56,95%信頼区間:0.43-0.73)減少。
一方の安全性として、全グレードの治療関連有害事象(TRAE)発症率はバベンチオ+BSC併用群98.0%に対してBSC単独群77.7%。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はバベンチオ+BSC併用群47.4%に対してBSC単独群25.2%。最も多くの患者で確認されたバベンチオ+BSC併用群のグレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)は尿路感染症4.4%、貧血3.8%、血尿1.7%、疲労1.7%、腰痛1.2%を示した。
以上のJAVELIN Bladder 100試験の結果よりThomas Powles氏らは以下のように結論を述べている。”白金製剤を含む化学療法後に病勢進行が確認されなかった局所進行/転移性尿路上皮がん患者に対する維持療法としての抗PD-L1抗体薬バベンチオ+BSC療法は、主要評価項目である全生存期間(OS)を統計学的有意に改善しました。また、バベンチオ+BSC療法の安全性プロファイルも既存の臨床試験で確認されている内容と一致しており、忍容性に問題はありませんでした。”
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