・進行性肛門がん患者が対象の第2相試験
・シスプラチン+フルオロウラシル併用療法とカルボプラチン+パクリタキセル併用療法の有効性・安全性を比較検証
・全生存期間はシスプラチン+フルオロウラシル12.3ヵ月に対してカルボプラチン+パクリタキセル20.0ヵ月
2020年6月12日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて化学療法ナイーブの進行性肛門がん患者に対するシスプラチン+フルオロウラシル併用療法、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のInterAAct試験(NCT02051868)の結果がRoyal Marsden HospitalのSheela Rao氏らにより公表された。
InterAAct試験とは、化学療法ナイーブの進行性肛門がん患者に対して21日を1サイクルとして1日目にシスプラチン60mg/m2+1~4日目にフルオロウラシル1,000mg/m2併用療法を投与する群、または28日を1サイクルとして1日目にカルボプラチン+1、8、15日目にパクリタキセル80mg/m2併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として客観的奏効率(ORR)、副次評価項目としてフィジビリティ率などを比較検証した国際多施設共同ランダム下の第2相試験である。
化学療法による治療が必要な進行性肛門がんの5年全生存率(OS)は30%程度であり、予後が非常に悪い。現在の標準治療はプラチナ系抗がん剤療法であるが、本治療が推奨される根拠としてランダム化試験等は実施されていない。最適なレジメンを確立するため化学療法ナイーブの進行性肛門がん患者に対するシスプラチン+フルオロウラシル併用療法、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法の有効性を比較検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値28.6ヵ月時点の主要評価項目である客観的奏効率(ORR)はシスプラチン+フルオロウラシル併用療法は57%(95%信頼区間:39.4%-73.7%)に対してカルボプラチン+パクリタキセル併用療法は59%(95%信頼区間:42.1%-74.4%)を示した。
副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値はシスプラチン+フルオロウラシル併用療法は5.7ヵ月(95%信頼区間:3.3-9.0ヵ月)に対してカルボプラチン+パクリタキセル併用療法8.1ヵ月(95%信頼区間:6.6-8.8ヵ月)。
全生存期間(OS)中央値はシスプラチン+フルオロウラシル併用療法は12.3ヵ月(95%信頼区間:9.2-17.7ヵ月)に対してカルボプラチン+パクリタキセル併用療法20.0ヵ月(95%信頼区間:12.7ヵ月-未到達)。
安全性として、重篤な有害事象(SAE)発症率はシスプラチン+フルオロウラシル併用療法62%に対してカルボプラチン+パクリタキセル併用療法36%(P=0.016)を示した。
以上のInterAAct試験の結果よりSheela Rao氏らは「化学療法ナイーブの進行性肛門がん患者に対する化学療法の有効性、安全性を比較した初の大規模臨床試験である。本試験の結果、カルボプラチン+パクリタキセル併用療法はシスプラチン+フルオロウラシル併用療法に比べて安全性、全生存期間(OS)を改善することが示され、本疾患の新しい標準治療になり得る可能性が示唆されました」と結論を述べている。
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