・KEYNOTE-407試験とは、未治療の転移性非小細胞肺扁平上皮がん患者に対する一次治療として抗PD-1抗体薬キイトルーダ+カルボプラチン+パクリタキセル(ナブパクリタキセル)併用療法とカルボプラチン+パクリタキセル(ナブパクリタキセル)併用療法の有効性を比較検証した第III相試験である
・本試験の副次評価項目である全奏効率(ORR)はキイトルーダ投与群58.4%に対してキイトルーダ非投与群35.0%、キイトルーダ投与群で約2倍の全奏効率(ORR)を達成した
・本試験の主要評価項目である全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)の結果については、既にメルク・アンド・カンパニーのプレスリリースで公表されている通り、両評価項目ともにキイトルーダ投与群で改善し、主要評価項目を達成している
2018年6月1日より5日までアメリカ合衆国・イリノイ州・シカゴで開催された米国臨床腫瘍学会(ASCO 2018)にて、転移性非小細胞肺扁平上皮がん患者に対する一次治療としての抗PD-1抗体薬であるペムブロリスマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)+カルボプラチン+パクリタキセルまたはナブパクリタキセル併用療法の有効性を比較検証した第III相のKEYNOTE-407試験(NCT02775435)の結果がUniversity Hospital 12 de October・Luis G. Paz-Ares氏らにより公表された。
KEYNOTE-407試験とは、未治療の転移性非小細胞肺扁平上皮がん患者(N=560人)に対して一次治療として21日を1サイクルとして1日目にキイトルーダ200mg+1日目にカルボプラチン6AUC+1日目にパクリタキセル200mg/m2もしくは1日目、8日目、15日目にナブパクリタキセル100mg/m2併用療法を投与する群、またはプラセボ+カルボプラチン+パクリタキセルもしくはアブラキサン併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全奏効率(ORR)、奏効持続期間(DOR)を比較検証した二重盲検下の第III相試験である。
本試験の204人の患者(キイトルーダ投与群:N=101人,キイトルーダ非投与群:N=103人)を対象にした初回解析の結果は下記の通りである。副次評価項目である全奏効率(ORR)はキイトルーダ投与群58.4%に対してキイトルーダ非投与群35.0%、キイトルーダ投与群で約2倍の全奏効率(ORR)を達成した(P=0.0004.)。また、6ヶ月奏効持続率(DOR)はキイトルーダ投与群65.8%に対してキイトルーダ非投与群45.6%、キイトルーダ投与群で奏効が持続した。
なお主要評価項目である全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)の結果については、メルク・アンド・カンパニーが2018年5月23日付のプレスリリースで公表した通り、両評価項目ともにキイトルーダ投与群で改善し、主要評価項目を達成している。
一方の安全性として、グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率はキイトルーダ投与群64.4%に対してキイトルーダ非投与群74.5%を示し、既存の臨床試験で確認されてキイトルーダの安全性プロファイルと一致していた。
以上のKEYNOTE-407試験の結果よりLuis G. Paz-Ares氏らは以下のように結論を述べている。”未治療の転移性非小細胞肺扁平上皮がん患者に対する一次治療としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ+カルボプラチン+パクリタキセル(またはナブパクリタキセル)併用療法は標準化学療法に比べて約2倍の全奏効率(ORR)を示しました。”
メルク・アンド・カンパニーの2018年5月23日付のプレスリリースはこちら