・同種造血幹細胞移植後に完全寛解を達成したFLT3/ITD変異陽性急性骨髄性白血病患者が対象の第2相試験
・マルチキナーゼ阻害薬ネクサバール単剤療法の有効性・安全性を比較検証
・プラセボ群に比べて、ネクサバール群で再発または死亡のリスクが61%減少
2020年7月16日、医学誌『Journal of Clinical Oncology(JCO)』にて同種造血幹細胞移植後に完全寛解を達成したFLT3/ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブ(商品名ネクサバール;以下ネクサバール)単剤療法の有効性、安全性を比較検証した第2相のSORMAIN試験(DRKS00000591)の結果がUniversity Hospital Giessen and MarburgのAndreas Burchert氏らにより公表された。
SORMAIN試験とは、同種造血幹細胞移植後に完全寛解を達成したFLT3/ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対する維持療法としてネクサバール単剤療法を投与する群(N=43人)、またはプラセボ単剤療法を投与する群(N=40人)に無作為に振り分け、主要評価項目として無再発生存率(RFS)を比較検証したプラセボ対照ランダム化二重盲検下の第2相試験である。
本試験が開始された背景として、FLT3/ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者の予後は非常に不良であり、それは同種造血幹細胞移植治療後でも同様である。以上の背景より、同種造血幹細胞移植後のFLT3/ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)に対する維持療法としてのネクサバール単剤療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値41.8ヶ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である24ヶ月無再発生存率(RFS)はネクサバール群85.0%(95%信頼区間:70%-93%)に対してプラセボ群53.3%(95%信頼区間:36%-68%)、ネクサバール群で再発または死亡(RFS)のリスクを61%減少(HR:0.39,95%信頼区間:0.18-0.85,P=0.013)した。
以上のSORMAIN試験の結果よりAndreas Burchert氏らは以下のように結論を述べている。”同種造血幹細胞移植後のFLT3/ITD変異陽性急性骨髄性白血病(AML)患者に対するマルチキナーゼ阻害薬ネクサバールは、再発または死亡(RFS)のリスクを軽減させました。”
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