・切除不能肝細胞がん患者が対象の第1b相試験
・レンビマ+キイトルーダ併用療法の有効性・安全性を比較検証
・用量制限毒性は確認されず、mRECIST評価による客観的奏効率は46.0%を示した
2020年7月27日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて切除不能肝細胞がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬であるレンバチニブ(商品名レンビマ;以下レンビマ)+抗PD-1抗体薬であるペンブロリズマブ(商品名キイトルーダ;以下キイトルーダ)併用療法の有効性、安全性を検証した第1b相試験(NCT03006926)の結果がUniversity of California Los Angeles Medical CenterのRichard S. Finn氏らにより公表された。
本試験は、切除不能肝細胞がん患者に対して21日を1サイクルとして1日1回レンビマ8~12mg+1日目にキイトルーダ200mg併用療法を投与し、主要評価項目として用量制限毒性(DLT)、客観的奏効率(ORR)などを検証した第1b相試験である。
レンビマ、キイトルーダはそれぞれ単剤、別の薬剤との併用療法にて切除不能肝細胞がんに対して臨床的意義のある抗腫瘍効果を示している。また、基礎試験にてレンビマ+キイトルーダ併用療法は相乗的な抗腫瘍効果が確認されている。以上の背景より、切除不能肝細胞がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬レンビマ+抗PD-1抗体薬キイトルーダ併用療法の有用性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験に登録された104人の患者における結果は下記の通りである。主要評価項目である用量制限毒性(DLT)は1人の患者でも確認されなかった。グレード3以上の治療関連有害事象(TRAE)発症率は67%を示し、内グレード5は3%の患者で確認された。なお、本試験で新たに確認された有害事象(AE)はなかった。
また、もう1つの主要評価項目であるmRECIST評価による客観的奏効率(ORR)は46.0%(95%信頼区間:36.0%-56.3%)、RECIST v1.1評価による客観的奏効率(ORR)は36.0%(95%信頼区間:26.6%-46.2%)を示した。mRECIST評価による奏効持続期間(DOR)中央値は8.6ヵ月(95%信頼区間:6.9ヵ月-未到達)、RECIST v1.1評価による奏効持続期間(DOR)中央値は12.6ヵ月(95%信頼区間:6.9ヵ月-未到達)。
また、副次評価項目であるmRECIST評価による無増悪生存期間(PFS)中央値は9.3ヵ月、RECIST v1.1評価による無増悪生存期間(PFS)中央値は8.6ヵ月。全生存期間(OS)中央値は22ヵ月。
以上の第1b相試験の結果よりRichard S. Finn氏らは「切除不能肝細胞がん患者に対するマルチキナーゼ阻害薬レンビマ+抗PD-1抗体薬キイトルーダは、良好な抗腫瘍効果を示し、有害事象(AE)も管理可能な内容でした」と結論を述べている。
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