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未治療の悪性胸膜中皮腫に対するオプジーボ+ヤーボイ併用療法、持続的かつ良好な全生存期間の改善を示すー米ブリストル・マイヤーズ スクイブ社ー

  • [公開日]2020.08.17
  • [最終更新日]2020.08.17

8月8日、米・ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は、未治療の切除不能な悪性胸膜中皮腫(MPM)に対し、オプジーボ(一般名:ニボルマブ、以下オプジーボ)とヤーボイ(一般名:イピリムマブ、以下ヤーボイ)の併用療法化学療法と比較検証した第3相CheckMate-743試験の結果、全生存期間OS)を有意に改善したと発表した。

悪性胸膜中皮腫は、5年生存率が10%未満と悪性度の高いがん腫であり、多くの治療に耐性を示している。オプジーボとヤーボイはそれぞれ2つの異なるチェックポイント(PD-1とCTLA-4)を標的とした免疫チェックポイント阻害薬の2剤併用療法である。ヤーボイはT細胞の活性化と増殖を促進し、オプジーボはT細胞によるがん細胞への攻撃を助ける役割を持ち、潜在的に相乗的な作用機序を特徴とする。また、ヤーボイによって活性化されたT細胞の一部はメモリーT細胞として、長期の免疫応答をもたらす可能性が示唆されている。

CheckMate-743試験は、未治療の悪性胸膜中皮腫患者(N=605人)をオプジーボ+ヤーボイ併用療法を投与する群(N=303人)と化学療法(ペメトレキセドシスプラチンまたはカルボプラチン)併用療法を投与する群(N=302人)に割り付け比較評価した多施設無作為化非盲検第3相臨床試験。本試験では、オプジーボ+ヤーボイ併用群は、2週間毎にオプジーボ3mg/kg、6週間毎にヤーボイ1mg/kgを最大24ヶ月投与した。一方、化学療法併用群は、21日間を1サイクルとしてシスプラチン75mg/m2またはカルボプラチンAUC5とペメトレキセド500mg/m2を最大6サイクル投与した。主要評価項目はOS、副次評価項目は、奏効率ORR)、病勢コントロール率DCR)および無増悪生存期間PFS)とした。

CheckMate-743試験の22ヵ月の追跡結果において、主要評価項目であるOSの中央値は、オプジーボ+ヤーボイ併用療法群で18.1ヵ月、化学療法群では14.1ヵ月であり(HR:0.74;96.6%信頼区間(CI):0.60-0.91;p=0.002)オプジーボとヤーボイの併用療法は死亡リスクを26%低減した。オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは、これまでのデータと一貫しており、新たな安全性シグナルは認められなかった。

中皮腫において組織型は確立した予後因子であり、一般的に非上皮型の患者の予後は不良とされている。CheckMate-743試験の組織型によるサブグループ解析の結果、非上皮型のOS中央値はオプジーボ+ヤーボイ併用療法で18.1ヵ月、化学療法群で8.8ヵ月(HR:0.46、95%CI:0.31-0.68)、上皮型のOS中央値はオプジーボ+ヤーボイ併用群で18.7ヵ月、化学療法群では16.5ヵ月(HR:0.86、95%CI:0.69-1.08)。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ社の腫瘍臨床開発担当バイスプレジデントであるSabine Maier氏(M.D.)は「悪性胸膜中皮腫におけるこれらのデータは、非小細胞肺がん患者さんにおいて、オプジーボとヤーボイの併用療法の確立された長期の有効性に基づくものであり、この併用療法が胸部がんにおける生存期間に変化をもたらす可能性をさらに示すものです。過去15年以上にわたり、悪性胸膜中皮腫患者さんの生存期間を延長できる新たな全身療法は承認されていません。今後、CheckMate-743試験の肯定的な結果について、世界の保健当局と協議してまいります」と述べている。

悪性胸膜中皮腫について
肺を覆う膜から発生する悪性度の高い希少がんであり、発症の主原因はアスベストへの曝露である。早期発見が難しく、診断時には、すでに進行または転移していることが多い。未治療の進行/転移性悪性胸膜中皮腫患者の生存期間の中央値は1年未満、5年生存率は約10%と予後は不良である。

オプジーボについて
身体の免疫系を利用して抗腫瘍免疫応答を再活性化するPD-1免疫チェックポイント阻害薬。がんを攻撃するために身体の免疫系を利用するオプジーボは、複数のがん腫において重要な治療選択肢となっている。オプジーボは、2014年7月に承認を取得した世界初のPD-1免疫チェックポイント阻害薬である。

ヤーボイについて
細胞傷害性Tリンパ球抗原-4(CLTA-4)に結合する遺伝子組み換えヒトモノクローナル抗体。T細胞の活性化を抑制する調節因子であるCTLA-4と結合し、CTLA-4そのリガンドであるCD80/CD86との相互作用を阻害する。CTLA-4が阻害されると、腫瘍浸潤エフェクターT細胞の活性化と増殖などが促進され、CTLA-4のシグナル伝達が阻害されると、制御性T細胞の機能が低下し、抗腫瘍免疫応答を含むT細胞の反応性が全体的に向上する可能性が示唆されている。

参照元:
ブリストル・マイヤーズ スクイブ社 プレスリリース

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