・切除後のBRAF V600E/K遺伝子変異陽性ステージIIIの悪性黒色腫患者が対象の第3相試験
・タフィンラー+メキニスト併用療法の有効性・安全性を比較検証
・5年長期フォローアップにてタフィンラー+メキニストはプラセボに対し、再発・死亡リスクを49%減少した
2020年9月2日、医学誌『The New England Journal of Medicine』にて切除後のBRAF V600E/K遺伝子変異陽性ステージIIIの悪性黒色腫患者に対してBRAF阻害薬であるタフィンラー(一般名:ダブラフェニブ、以下タフィンラー)+MEK阻害薬であるメキニスト(一般名:トラメチニブ、以下メキニスト)併用療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のCOMBI-AD試験(NCT01682083)の5年長期フォローアップ追跡の結果がUniversity of ZurichのReinhard Dummer氏らにより公表された。
COMBI-AD試験とは、切除後のBRAF V600E/K遺伝子変異陽性ステージIIIの悪性黒色腫患者(N=870人)に対して12ヵ月に渡り、1日2回タフィンラー150mg+1日1回メキニスト2mg併用療法を投与する群、またはプラセボ療法を投与する群に1:1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無再発生存期間(RFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、無遠隔転移生存期間(DMFS)、無再発生存(FFR)などを比較検証した無作為化二重盲検比較の第3相試験である。
本試験の5年長期フォローアップ追跡が実施された背景として、前回の報告ではBRAF V600E/K遺伝子変異陽性ステージIIIの悪性黒色腫患者にアジュバンド治療としてのタフィンラー+メキニスト併用療法は無再発生存期間(RFS)を統計学有意に改善した。しかしながら、タフィンラー+メキニスト併用療法の長期的な有用性については不明であり、5年長期フォローアップ追跡試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値59ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目である5年無再発生存率(RFS)はタフィンラー+メキニスト併用群52%(95%信頼区間:48%-58%)に対してプラセボ群36%(95%信頼区間:32%-41%)、タフィンラー+メキニスト併用群で再発または死亡(RFS)のリスクを49%(HR:0.51、95%信頼区間:0.42-0.61)減少した。
副次評価項目である5年無遠隔転移生存期間(DMFS)はタフィンラー+メキニスト併用群65%(95%信頼区間:61%-71%)に対してプラセボ群54%(95%信頼区間:49%-60%)、タフィンラー+メキニスト併用群で遠隔転移または死亡(DMFS)のリスクを45%(HR:0.55、95%信頼区間:0.44-0.70)減少した。
以上のCOMBI-AD試験の5年長期フォローアップ追跡の結果よりReinhard Dummer氏らは「切除後のBRAF V600E/K遺伝子変異陽性ステージIIIの悪性黒色腫患者に対するBRAF阻害薬タフィンラー+MEK阻害薬メキニスト併用療法は、5年無再発生存率(RFS)、5年無遠隔転移生存期間(DMFS)を改善しました」と結論を述べている。
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