・進行性胃/食道胃接合部がん患者が対象の第3相試験
・キイトルーダ単剤、キイトルーダ+化学療法の有効性・安全性を比較検証
・化学療法と比較して全生存期間の非劣勢を示し、有害事象も低率
2020年9月3日、医学誌『JAMA Oncology』にて進行性胃/食道胃接合部がん患者に対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬であるキイトルーダ(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)単剤療法と、キイトルーダ+化学療法、化学療法の有効性、安全性を比較検証した第3相のKEYNOTE-062試験(NCT02494583)の結果が国立がん研究センター東病院の設楽 紘平氏らにより公表された。
KEYNOTE-062試験とは、進行性胃/食道胃接合部がん患者(N=763人)に対するファーストライン治療として3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg単剤療法を投与する群(N=256人)、3週を1サイクルとしてキイトルーダ200mg+化学療法(シスプラチン80㎎/m2+フルオロウラシル800mg/m2または1日2回カペシタビン1000mg/m2)併用療法を投与する群(N=257人)、またはプラセボ+化学療法併用療法を投与する群(N=250人)に1対1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目としてPD-L1陽性(CPS≥1/≥10)の無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)を比較検証した第3相試験である。
本試験のフォローアップ期間中央値29.4ヵ月時点における結果は下記の通りである。主要評価項目であるPD-L1陽性(CPS≥1)の全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ単剤群10.6ヵ月に対して化学療法群11.1ヵ月、化学療法群に対するキイトルーダ単剤群の非劣勢が示された(HR:0.91、99.2% 信頼区間:0.69-1.18)。なお、化学療法群に対するキイトルーダ単剤群の優越性は示されていない。
PD-L1陽性(CPS≥10)の全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ単剤群17.4ヵ月に対して化学療法群10.8ヵ月、化学療法群に対してキイトルーダ単剤群で死亡(OS)リスクを31%減少(HR:0.69、95%信頼区間:0.49-0.97)した。
また、PD-L1陽性(CPS≥1)の全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ+化学療法群12.5ヵ月に対して化学療法群11.1ヵ月、キイトルーダ+化学療法群で死亡(OS)リスクを15%減少(HR:0.85、95%信頼区間:0.70-1.03、P=0.05)。PD-L1陽性(CPS≥10)の全生存期間(OS)中央値はキイトルーダ+化学療法群12.3ヵ月に対して化学療法群10.8ヵ月、キイトルーダ+化学療法群で死亡(OS)リスクを15%減少(HR:0.85、95%信頼区間:0.62-1.17、P=0.16)するも優越性は示されなかった。
一方の安全性として、グレード3~5の治療関連有害事象(TRAE)発症率はそれぞれキイトルーダ単剤群17%、キイトルーダ+化学療法併用群73%、化学療法群69%を示した。
以上のKEYNOTE-062試験の結果より設楽 紘平氏らは「進行性胃/食道胃接合部がんに対するファーストライン治療としての抗PD-1抗体薬キイトルーダ単剤、抗PD-1抗体薬キイトルーダ+化学療法併用は、化学療法に比べて全生存期間(OS)の非劣勢を示し、有害事象(AE)発症率も低率でした」と結論を述べている。
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