・複数種の進行性/転移性固形がん、多発性骨髄腫患者が対象の第1相試験
・RAF/MEK阻害薬CH5126766単剤療法の安全性を検証
・第2相試験の推奨用量は単剤療法で4.0mgを週2回投与と決定し、客観的奏効率は27%だった
2020年10月28日、医学誌『The Lancet Oncology』にて複数種の進行性/転移性固形がん、多発性骨髄腫患者に対するRAF/MEK阻害薬であるCH5126766(VS-6766)単剤療法の安全性、有効性を検証した第1相試験(NCT02407509)の結果がThe Institute of Cancer Research and the Royal Marsden NHS Foundation TrustのChristina Guo氏らにより公表された。
本試験は、RAS-RAF-MEK経路の変異を有する複数種の進行性/転移性固形がん、多発性骨髄腫患者(内訳は非小細胞肺がん12人、婦人科悪性腫瘍5人、大腸がん4人、メラノーマ1人、多発性骨髄腫7人)に対して28日を1サイクルとしてCH5126766(VS-6766)3.2または4.0mg単剤療法を週3回投与する群、CH5126766(VS-6766)4.0mg単剤療法を週2回投与する群と、グレード2以上の有害事象があった場合にCH5126766(VS-6766)4.0mgを週2回3週間投与し1週間休薬する群に分けて、主要評価項目として第2相試験推奨用量(RPIID)、安全性、重要な副次評価項目として無増悪生存期間(PFS)などを検証した単施設オープンラベルの第1相試験である。
CH5126766(VS-6766)は新規のRAF/MEK阻害薬であり、複数種の進行性/転移性固形がんに対して有望な抗腫瘍効果を示している。しかしながら、開発段階の初期に確認された有害事象(AE)により使用方法に制限が課されている。以上の背景より、複数種の進行性/転移性固形がん、多発性骨髄腫患者に対するRAF/MEK阻害薬CH5126766(VS-6766)単剤療法の安全性、有効性を検証する目的で本試験が開始された。
本試験のフォローアップ期間中央値2.3ヵ月時点における結果は下記の通りである。用量制限毒性(DLT)は、CH5126766(VS-6766)4.0mg単剤療法週3回投与群でグレード3の両側網膜色素上皮剥離1人、CH5126766(VS-6766)3.2mg単剤療法週3回投与群でグレード3の皮膚障害2人、グレード3のクレアチンホスホキナーゼ上昇1人が確認され、主要評価項目である第2相試験推奨用量(RPIID)は4.0mg単剤療法週2回投与として決定された。
最も多くの患者で確認されたグレード3~4の治療関連有害事象(TRAE)は皮膚障害19%(N=11人)、クレアチンホスホキナーゼ上昇11%(N=6人)、低アルブミン血症11%(N=6人)、倦怠感7%(N=4人)を示した。また、重篤な治療関連有害事象(TRAE)は9%(N=5人)の患者で確認され、治療関連有害事象(TRAE)による死亡は0人であった。
評価可能であった26人の副次評価項目である客観的奏効率(ORR)は27%(N=7人、95%信頼区間:11.6%~47.8%)だった。
以上の第1相試験の結果よりChristina Guo氏らは「本試験は、複数種の進行性/転移性固形がん、多発性骨髄腫患者に対するRAF/MEK阻害薬CH5126766(VS-6766)単剤療法の安全性、抗腫瘍効果を示した初の臨床試験になります。CH5126766(VS-6766)は単剤および併用療法としてさらなる評価が必要とされています」と結論を述べている。
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