2020年12月16日、エーザイ株式会社と米メルク社は、経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ(R)」(一般名:レンバチニブメシル酸塩、以下レンビマ)および抗PD-1抗体「キイトルーダ(R)」(一般名:ペムブロリズマブ、以下キイトルーダ)の併用療法について、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がんを対象とした臨床第3相試験である「309試験/KEYNOTE-775試験(NCT03517449))」において、2つの主要評価項目である全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)および副次評価項目である奏効率(ORR)を達成したと発表した。
309試験/KEYNOTE-775試験は、少なくとも1レジメンのプラチナ製剤による前治療歴のある進行性子宮内膜がんを対象に、レンビマとキイトルーダの併用療法を評価する、多施設共同、非盲検、無作為化の臨床第3相試験。2つの主要評価項目はOS、およびRECISTv1.1に基づく盲検下独立中央画像判定によるPFSだった。副次評価項目は、RECISTv1.1に基づく盲検下独立中央画像判定によるORR、および安全性/忍容性。827人の登録患者のうち、697人は高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)を有さない、またはミスマッチ修復機能(pMMR)を有する患者であり、130人がMSI-Hを有する、またはミスマッチ修復機構欠損(dMMR)を有する患者だった。
登録患者はレンビマ(20mg、1日1回経口投与)+キイトルーダ(200mg 3週ごと静脈内投与を1サイクルとし、最大で35サイクル(約2年)まで投与)の併用、または治験医師選択化学療法(ドキソルビシン(60mg/m2 3週ごと静脈内投与で総投与量500mg/m2以下)またはパクリタキセル(4週を1サイクルとして80mg/m2 週1回静脈内投与を3週連続し、1週間休薬))に1:1で割り付けられた。
独立データモニタリング委員会による解析の結果、レンビマ+キイトルーダ併用療法は、OS、PFSおよびORRについて、治験医師選択化学療法に対する統計学的に有意かつ臨床的に意義のある改善を示したという。なお、同併用療法の安全性プロファイルは、これまでに報告されている臨床試験のものと同様だった。同試験の結果の詳細については、今後の学会で発表する予定としている。
子宮内膜がんとは
子宮内膜がんは、子宮の内層に発生し、子宮における最も発生頻度の高いがん。罹患者数は2018年において、世界で38万2千人以上と推定されている。日本では、2018年に約1万6000人が新たに子宮体がんと診断され、約2500人が亡くなったと考えられている。
レンビマとは
経口投与が可能なマルチキナーゼ阻害剤であるレンビマは、血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)のVEGFR1、VEGFR2、VEGFR3や線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)のFGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)のPDGFRα、KIT、RETなどの腫瘍血管新生あるいは腫瘍悪性化に関与する受容体型チロシンキナーゼに対する選択的阻害活性を有する薬剤。
キイトルーダとは
キイトルーダは、自己の免疫力を高め、がん細胞を見つけて攻撃するのを助ける抗PD-1抗体。同剤はPD-1とそのリガンドであるPD-L1およびPD-L2との相互作用を阻害することで、がん細胞を攻撃するTリンパ球を活性化する。
参照元:
エーザイ株式会社 ニュースリリース
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