姉と前夫をがんで亡くした元ニュースキャスターのケイティ・コリックら、がんによって人生が大きく変わった女性たちによって2007年考え出され、ABC、NBC、CBSの3大ネットワークがスタンド・アップ・ツー・キャンサー・テレキャスト(Stand Up To Cancer<SU2C>Telecast)というがんの募金コンサート番組を翌年始めた。2年毎に開催されるこのテレビ放送は今まで4億8千万ドル以上を集めてきた。
第6回目となる今年のSU2Cテレキャストは、来月9月7日金曜午後8時台(全米の時差により地域で多少開始時間が異なる)に放送される。ケイティ・コリック、女優リース・ウィザースプーン、ジェニファー・ガーナー、マシュー・マコノヒー、今年グラミー賞コメディ部門でプレゼンしたトレバー・ノア、俳優兼医師のケン・チョンら、お馴染みのハリウッド俳優、歌手たちが大勢出演する。
同イベントの主なプロデューサーは、父を肺がんで亡くした俳優のブラッドリー・クーパーだ。彼は看病だけでなく、父親の医療費等もサポートしたが「治療費と家賃の両方を支払えない環境にある患者や家族の方々がどれほど大変なのか、想像がつかない。がんの闘病患者が経済状況や社会的地位に関わらず、診断日から治療の最後まで生活の質を保てる全面的な支援が受けられる日がくるよう」望んでいると数年前に公の場で語っている。
※プロデューサー:ブラッドリー・クーパー
2008年9月5日に ニューヨークで始まった第1回のSU2Cコンサート募金放送では、乳がん手術を受けた歌手のシェリル・クロウ、マライア・キャリー、ビヨンセ、リアーナ、マイリー ・サイラス、キャリー・アンダーウッドなどのアーティストが「立ち上がって諦めないで!」と、患者を励ますべく並んで歌った。この初回で1億ドル以上の資金調達に成功し、以降2回目が2010年9月10日、3回目は2012年9月7日、4回目は2014年9月5日、5回目は2016年9月9日に開催された。
※女優:ヴィオラ・ディビス
SU2Cの資金援助を受けたがんの研究者たちによる臨床試験(Clinical Trial)はすい臓がん、子宮がん、小児がん、膀胱がん、結腸直腸がん、卵巣がん、肺がん標的、がん治療における免疫チェックポイント阻害薬、前立腺がん、乳がん、キメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)研究チームなど多岐にわたっている。既にこれらのチームが率いる研究者たちの治療法の幾つかは、FDA(アメリカ食品医薬品局)に承認されており、乳がんチームによるパルボシクリブ、膵臓がんチームによるアブラクサンとゲムシタビンなどがある。
今までのコンサートでは、新たな治療法でがん撲滅を目指すムーンショット・プロジェクトを掲げた第47代副大統領のジョー・バイデン氏も2016年に参加。「アメリカはがんに打ち勝つことができる」と聴衆に語った。実は前副大統領はデラウェア州司法長官だった長男のボー・バイデン氏を2015年、脳腫瘍で亡くしているのだ。コンサートの合間に臨床、研究に関するドキュメント映像が流れたり、臨床試験で元気になった患者なども出演。番組の進行途中に集まった額の発表や、女優のグウィネス・パルトロウがアメリカン・キャンサー・ソサイエティを紹介したり、ハル・ベリーが電話からだけでなく、ウェッブサイトからも寄付できると訴えたり、セレブが人助けに一生懸命頑張ってきた。
プロデューサーのブラッドリーは番組が患者一人ではなく「 コミュニティ皆がサポートしていると気づかせ、1時間の放送で募金を集めることで、効果的な治療法で命を救うために皆が繋がる」と述べている。SU2Cのコンサート番組はアメリカだけでなく、イギリスやカナダでも独自のSU2C番組が出来、190以上の国で放送されるなど、米国外にも波及している。今年の米国SU2Cコンサートは例年と比べてどういう内容なのか、もう直ぐ番組が始まる。
※すい臓がんサバイバーとブラッドリー・クーパー
■STAND UP TO CANCER TO RETURN ON FRIDAY, SEPTEMBER 7 FOR SIXTH STAR-STUDDED ROADBLOCK TELECAST
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