・治療歴のあるBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移性大腸がん患者が対象の第2相試験
・イリノテカン+セツキシマブ+ムラフェニブ併用療法有効性・安全性を比較検証
・無増悪生存期間はイリノテカン+セツキシマブ併用群に対して統計学的有意に延長した
2020年12月23日、医学誌『Journal of Clinical Oncology』にて治療歴のあるBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移性大腸がん患者に対するイリノテカン+抗EGFR抗体薬であるセツキシマブ+BRAF阻害薬であるベムラフェニブ併用療法の有効性、安全性を検証した第II相のSWOG S1406試験(NCT02164916)の結果がUniversity of Texas MD Anderson Cancer CenterのScott Kopetz氏らにより公表された。
SWOG S1406試験とは、治療歴のあるBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移性大腸がん患者に対して4週を1サイクルとして1日目と14日目にイリノテカン180mg/m2+セツキシマブ500mg/m2併用療法を投与する群、または2週を1サイクルとしてイリノテカン180mg/m2+セツキシマブ500mg/m2+1日2回ベムラフェニブ960mg併用療法を投与する群に1対1の割合で無作為に振り分け、主要評価項目として無増悪生存期間(PFS)、副次評価項目として全生存期間(OS)、安全性、奏効率(RR)などを検証した第2相試験である。
本試験の結果、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)はイリノテカン+セツキシマブ併用群に比べてイリノテカン+セツキシマブ+ベムラフェニブ併用群で病勢進行または死亡(PFS)のリスクを50%(HR:0.50、P=0.001)改善した。
副次評価項目である奏効率(RR)はイリノテカン+セツキシマブ併用群4%に対してイリノテカン+セツキシマブ+ベムラフェニブ併用群17%、病勢コントロール率(DCR)はイリノテカン+セツキシマブ併用群21%に対してイリノテカン+セツキシマブ+ベムラフェニブ併用群65%(P<0.001)を示した。
以上のSWOG S1406試験の結果よりScott Kopetz氏らは「治療歴のあるBRAF V600E遺伝子変異陽性の転移性大腸がん患者に対するイリノテカン+セツキシマブ+ベムラフェニブ併用療法は、イリノテカン+セツキシマブ併用療法に比べて無増悪生存期間(PFS)を改善し、その他の有効性においても良好な結果が確認されました」と結論を述べている。
大腸がんの治験・臨床試験広告
リサーチのお願い
この記事に利益相反はありません。