2021年1月29日、武田薬品工業株式会社は2020年度世界肺癌学会議(WCLC)のオーラルセッションで、プラチナ製剤の化学療法治療歴のあるEGFRエクソン20挿入遺伝子変異を伴う転移性非小細胞肺がん(NSCLC)患者を対象にmobocertinib(モボセルチニブ、開発コード:TAK-788)の有効性と安全性を検証した第1/2相試験のデータを発表すると公表した。
プラチナ製剤の化学療法治療歴のあるEGFRエクソン20挿入遺伝子変異を伴うNSCLC患者(N=114人)に対してmobocertinib160mgを1日1回経口投与した結果は下記の通りである。治験責任医師によって判定された奏効率(ORR)は35%(95%信頼区間:26-45%)、独立半手委員会(IRC)に判定された奏効率(ORR)は28%(95%信頼区間:20-37%)であった。
また、IRCによる判定での奏効期間(DOR)は17.5ヶ月(95%信頼区間:7.4-20.3ヶ月)、無増悪生存期間(PFS)は7.3ヶ月(95%信頼区間:5.5-9.2ヶ月)を示した。
一方安全性に関して、治療関連の有害事象(TRAE)で20%以上のものは下痢(90%)、発疹(45%)、爪囲炎(34%)、悪心(32%)、食欲不振(32%)、皮膚乾燥(30%)、嘔吐(30%)であり、グレード3以上のTRAE(5%以上)は、下痢(21%)であった。
以上の第1/2相試験の結果についてDana-Farber Cancer InstituteのPasi A Jänne, M.D., Ph.D.氏は「この結果から、プラチナ製剤ベースの治療歴を有するEGFRエクソン20挿入変異を伴う転移性非小細胞肺がん患者さんで臨床的に意義のある奏効や顕著な奏効期間が得られたことが示されました。これらのデータは有望であり、標的療法の選択肢を切望されている本疾患の患者さんにおいて、mobocertinibが経口治療薬候補となりうる更なるエビデンスを示しました」と述べている。
参照元:
武田薬品株式会社 プレスリリース
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